千葉工業大学とZOZO研究所の共同研究が、人工知能分野のトップカンファレンス「IJCAI 2025」にて論文採択

2025年5月26日(月)13時18分 PR TIMES

〜 集合データに対して一貫性のある説明を実現する新手法「C2FA」を提案 〜

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千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター(所在地:千葉県習志野市 所長:竹内 彰一)と株式会社ZOZO NEXT(本社:千葉県千葉市 代表取締役CEO:澤田 宏太郎)の研究開発組織「ZOZO研究所」は、共同研究により執筆した論文「Explaining Black-box Model Predictions via Two-level Nested Feature Attributions with Consistency Property」(邦題:二重階層の特徴帰属の一貫性を考慮したブラックボックスモデル予測の説明手法)が、人工知能分野のトップカンファレンス「IJCAI(International Joint Conference on Artificial Intelligence) 2025」に採択されたことをお知らせします。本研究成果は、千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター 吉川 友也とメルボルン大学 木村 正成氏、ZOZO研究所 清水 良太郎、斎藤 侑輝の研究チームによるものです。


<研究背景>
近年、AIがどのような根拠で判断を下しているのかを説明する重要性が高まっています。特に、マルチインスタンス学習(Multiple Instance Learning:MIL)と呼ばれる手法では、画像やテキストなど複数の要素(集合データ)をまとめて解析し予測を行うため、その仕組みの説明が大きな課題です。従来は、AIが「どの要素が結果に影響したか(High-level Feature Attributions:HiFAs)」および「その中でどの特徴が重要だったか(Low-level Feature Attributions:LoFAs)」をそれぞれ個別に推定してきました。しかし、この方法は多くの計算を必要とし、時間やコストの負担が大きいことに加え、HiFAsとLoFAsの説明内容が食い違う場合があるという問題がありました。たとえば、「この要素が重要」と示されても、その中の特徴を合計しても説明が一致しないといった不整合が発生し、説明の信頼性が損なわれる懸念が指摘されていました。


<論文内容>
本研究では、AIの予測結果を説明する際に生じる問題を解決するため、新しい手法「C2FA(Consistent Two-level Feature Attribution)」を提案しています。この手法は、これまで別々に推定していたHiFAsとLoFAsを同時に推定し、両者に一貫性が保たれるように設計されています。具体的には、単一インスタンスに対する代表的な説明手法である「LIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanation)」や「Kernel SHAP(kernel Shapley additive explanations)」といった従来の説明法を基に、HiFAsとLoFAsを同時に推定するための最適化問題を設定し、交互方向乗数法(Alternating Direction Method of Multipliers:ADMM)を使って効率的に解決します。C2FAの最大の特徴は、少ない計算回数で高精度な結果を得ることができ、常に一貫した説明を提供できる点です。実験では、MILによる画像分類タスクで、従来法に比べて少ない試行回数で高精度な推定が可能であり、視覚的にも一貫した説明を確認できました。


<今後の展望>
今後は画像分類にとどまらず、点群処理や自然言語処理など、さまざまな分野での応用が見込まれます。本研究を契機に、マルチインスタンス学習に対する説明技術が広まり、より透明性・信頼性の高いAIシステムの実現に貢献することが期待されます。また、ファッションの分野においては、全身のコーディネートを、トップス・ボトムス・帽子・靴・アクセサリーなど複数の要素で構成された集合データと見なすことができるため、本手法をファッションデータに応用していくことを目指します。


<論文の概要>
・タイトル : 「Explaining Black-box Model Predictions via Two-level Nested Feature Attributions with Consistency Property」(邦題:二重階層の特徴帰属の一貫性を考慮したブラックボックスモデル予測の説明手法)
・著者   : 千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター/吉川 友也、メルボルン大学/木村 正成氏、株式会社ZOZO NEXT/清水 良太郎、株式会社ZOZO NEXT/斎藤 侑輝
・論文URL :https://arxiv.org/abs/2405.14522


<千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センターについて>
人工知能・ソフトウェア技術研究センターは人工知能とソフトウェア技術の二つを研究の柱とする研究専従の組織です。国内外の学会における研究発表や研究者たちとの交流に積極的に取り組み、質の高い研究成果で社会に貢献する活動を行っています。
・所名 : 千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab)
・設立 : 2015年4月1日
・URL : https://stair.center


<ZOZO研究所について>
ZOZO研究所は、「ファッションを数値化する」をミッションに掲げるZOZOグループの研究機関です。ZOZOグループが保有するファッションに関する膨大な情報資産を基に、ファッションを科学的に解明するための研究開発をおこなっています。
・所名 : ZOZO研究所(ZOZO RESEARCH)
・設立 : 2018年1月31日
・URL : https://research.zozo.com/

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