地域物流の未来を拓く 「コミュニティ配送」提言書を策定
2025年5月26日(月)14時17分 PR TIMES
全国新スマート物流推進協議会(東京都渋谷区、会長:竹中貢 北海道上士幌町長 以下 本協議会)は、過疎化やドライバー不足により地域のラストワンマイル配送が困難となっている現状を踏まえ、ドローンなどの先端技術と地域の共助を組み合わせた新しい配送モデル「コミュニティ配送」の実現に向けた提言書を策定し、この度、平将明デジタル行財政改革担当大臣に手交し、具体的にコミュニティ配送の実現に向けた制度的課題を提示し、全課題地域に適用可能にするために、規制改革要望を提出いたしました。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/124089/8/124089-8-3cfebd97aef1ac150ac4a1a6a5dc7b95-2048x1365.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]平将明デジタル行財政改革担当大臣に提言書を手交(写真向かって左より当協議会 理事 エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔、副会長 舩木直美小菅村長、平将明デジタル行財政改革担当大臣、会長 竹中貢上士幌町長、理事セイノーラストワンマイル代表取締役社長 河合秀治)
提言のポイント
本提言書では、コミュニティ配送を通じた持続可能な地域物流インフラの構築を目指しています。「コミュニティ配送」とは、一定地域内において荷物を集約拠点(デポ)に集め、その先のラストワンマイルの配送をドローンや自動運転車両、自動配送ロボットといった先端技術、または地域住民の協力による「共助」の仕組みで行うことで、持続可能で効率的な地域配送を実現するモデルです。物流事業者は拠点までの配送をもって業務完了とするため、効率性が向上し、同時に地域住民の生活インフラとしての物流が確保される新たな仕組みです。
過疎地域においては、人口減少とドライバー不足により、従来の物流網の維持が極めて困難になりつつあります。例えば北海道上士幌町では、配送量の2割を占める農村部への配送に、全体の配送時間の8割を要するという極めて非効率な状況が確認されており、地域住民の生活を支える物流インフラの崩壊が現実味を帯びています。
こうした状況を打開するため、本提言では、先端技術と地域住民の共助を融合した「コミュニティ配送」モデルの導入を提案しています。新技術を活用しながら、地域の住民や事業者が協力してラストワンマイル配送を担うことで、効率化と持続可能性の両立を実現する新たな地域物流の姿を描きます。
さらに、こうした仕組みを各地に展開するためには、地域ごとの事情を踏まえた制度設計と合意形成の枠組みが不可欠です。そこで本提言では、地域住民、物流事業者、自治体が一体となって協議し、地域物流計画を策定する「地域物流協議会」の設置を提案しています。この枠組みは、公共交通分野において導入されている「地域公共交通会議」の制度設計を参考としたものであり、地域に根差した物流の在り方を実現するための基盤となるものです。
コミュニティ配送は一定の公共性を有するがゆえに、初期投資や運営費を地域内の関係者がどのように分担するかという財政面での制度設計も不可欠です。これらの課題に対応するためには、政府による制度的・財政的な後押しが強く求められており、政策形成や制度改革が今まさに問われている局面にあります。
「コミュニティ配送」の実現に向けた提言書はこちら(https://smartlogistics.jp/wp-content/uploads/2025/05/5b99ac966e19f7a49f25a5d5c32ee3a2.pdf)をご参照ください。
今後の展望
本協議会では、今後も全国の自治体・物流事業者と連携し、実証実験の実施を通じたベストプラクティスの構築、及び事例収集を通じたガイドライン作成などに取り組み、民間側から政府・自治体の政策形成への貢献を進めてまいります。また、本取り組みは政府が推進する「地方創生2.0」基本構想で示された1.安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生、4.デジタル・新技術の徹底活用、に合致する取組であり、地域主導による新たなインフラモデルの確立を目指す上で大きな一歩となると確信しています。本取組に興味を持って頂いた自治体や物流事業者の皆様のご連絡をお待ちしております。
以上
資料
【新スマート物流とは】
買物弱者、医療弱者、災害対応といった地域社会の抱えるさまざまな課題に物流は大きく関係しています。また、人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応など、物流業界自体が抱える課題も多く存在しています。そのような課題の解決にデジタルとテクノロジーを活用することが、地域物流の持続性を保ち、豊かで活き活きと暮らせる地域を守るためには不可欠です。
具体的には、地域の中での荷物の動きの最適化、地域に出入りする荷物の動きの集約と効率化、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術等の複層的な活用により地域社会のモノの流れを最適化させ、省人化対応、脱炭素化を実現していくこと。それが「新スマート物流」の概念です。
【全国新スマート物流推進協議会とは】
自治体を中心に民間企業の知見も広く結集し、物流業界内外の垣根も超えたオープンな情報交換、経験値の共有、議論・研究を行い、新スマート物流のより早い社会実装を通じて豊かな地域社会づくりに貢献することを目的に、5つの自治体(*)
を発起人に2022年5月16日に設立された団体。自治体を中心に現在50以上の会員が加盟。
現在、既存の陸上配送とドローン配送の組み合わせを中心に、地域社会のモノの流れを効率化・最適化し、ラストワンマイル物流を持続可能にするための様々な取り組み、活動を官民連携で進めています。特に近年は、分科会という枠組みで、ドローン配送約款、ミドルマイル共同輸配送、フェーズフリー型インフラ実現等をテーマに精力的に活動を進めています。
(*)北海道上士幌町、山梨県小菅村、茨城県境町、福井県敦賀市、北海道東川町)
◆詳細はをこちら(https://smartlogistics.jp/)をご覧下さい。