トランプ関税対策、電気・ガス料金補助に2881億円…財政支出は総額9000億円規模の見通し
2025年5月27日(火)12時33分 読売新聞
首相官邸
政府は27日午前の閣議で、トランプ米政権の関税措置に対応するため、2025年度予算の予備費から計3881億円を支出することを決定した。7〜9月の電気・ガス代の補助などに活用する方針で、米関税を受けた財政出動は初めて。既存の予算も含めた財政支出は、総額9000億円規模になる見通しだ。
政府は4月、消費喚起策や中小企業対策を盛り込んだ「緊急対応パッケージ」をまとめており、今回これを裏付ける財源を確保した。取り組みの柱となる電気・ガス料金への補助には、予備費から2881億円を充てる。標準的な家庭で3か月間で計3000円程度の負担減を見込んでいる。
地方の実情に応じた物価高対策を行うための「重点支援地方交付金」にも、予備費から1000億円を投入し、既存の予算と合わせて計3000億円規模に拡大する。これにより、LPガスを使用する中小企業や病院などへの支援を強化する。
このほか、既存の予算を活用した対策として、中小企業の資金繰りや雇用維持を後押しするため、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」の要件緩和などを進める。
石破首相は27日午前の総合対策本部の会合で、「減益を見込む企業が出るなど、関税の影響が一部で顕在化しつつある。刻々と変化する現場の生の声に耳をすまし、感度を上げて影響把握に努めてほしい」と指示した。政府は関税措置の長期化に備え、追加の対策を実施するための25年度補正予算案の編成を目指す方針だ。
電気・都市ガス料金の負担軽減策を発表
政府は27日、7〜9月(8〜10月請求分)に実施する電気・都市ガス料金の負担軽減策を発表した。一般的な家庭では、月1000円程度の負担軽減になるとしている。
冷房などを使う機会が増える8月の支援を手厚くており、家庭向けの電気代では1キロ・ワット時あたり2・4円、都市ガスでは1立方メートルあたり10円を補助する。7月と9月は、電気が2・0円、都市ガスが8円となる。一般的な家庭で8月が1260円、7、9月が1040円の負担軽減が見込まれる。都市ガスの補助と合わせ、3か月で3000円程度の負担軽減を見込む。
武藤経済産業相は27日の記者会見で、「脱炭素の見地からはいつまでも続けられるものではないが、国民生活の苦労を鑑みた」と述べた。
政府はロシアによるウクライナ侵略によるエネルギー価格の高騰を受け、2023年1月に電気・ガス料金の補助を始めた。補助額は段階的に縮小し、今年3月分で終了したが、物価高対策として再開を決めた。これまでに電気・ガスの補助として、計4・3兆円の予算を計上している。