抗がん剤の副作用しびれを予防する冷却手袋を開発
2024年11月18日(月)14時5分 Digital PR Platform
昭和大学(東京都品川区/学長:久光正)の木内祐二教授(薬理科学研究センター)、佐々木晶子講師(同)、宇高結子講師(同)、柴田佳太准教授(同)らの研究グループは、抗がん剤による副作用のしびれである化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を予防する冷却手袋を昭和大学と企業2社(アズワン株式会社、フットマーク株式会社)と共同開発し、本研究結果は第62回日本癌治療学会学術集会で発表されました。
乳がん治療のために使用する微小管阻害薬(タキサン系抗がん剤)は、有害事象として化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)による手指のしびれを引き起こします。CIPNは、患者の生活の質を低下させるだけでなく治療中止の要因となりますが、未だにCIPNを抑制するための有効な方法が確立されていません。
今回、CIPN予防法のひとつとして手指冷却法が予防に有効であることが報告されました(Hanai et al. JNCI, 2017)。手指冷却法とは、血管を収縮させることで血流の流れを遅延させ、抗がん剤を末梢に届きにくくさせる手法です。
本研究開発は、産官学連携プロジェクトとして昭和大学(東京都品川区/学長:久光正)と企業2社(アズワン株式会社、フットマーク株式会社)と共に実施されました。
抗がん剤治療中は片方の手が点滴で固定されているため、保冷剤を取り替える作業が難しく、保冷剤が手指から離れてしまう課題がありました。しかし、本研究開発の冷却手袋装着中は、保冷剤を容易に取り替えられるとともに、患者が治療中眠ってしまっても保冷剤が手指から離れることなく保冷効果を保つことができ、手指の血管を収縮し続けるため、しびれの予防効果が期待できます。
冷却手袋はフットマーク株式会社が開発し、手袋の内側には冷感素材を使用しています。素材に付着した水分が蒸発する際、気化熱が発生して生地温度が低下する機能を備えています。保冷剤はアズワン株式会社で開発し、一般医療機器クラスⅠで申請予定です。
2025年発売に向けて準備しています。
【共同研究グループ】
●アズワン株式会社 メディカルPB開発グループ
大谷 匡史
●フットマーク株式会社 健康快互事業部
田中 茂
●昭和大学 薬理科学研究センター
木内 祐二、佐々木 晶子、宇高 結子、柴田 佳太、粟根 大輝
【研究支援】
本研究は文部科学省科学研究費助成事業(基金)による助成を受けて行われました。
▼本件に関する問い合わせ先
<発表者> ※研究内容については発表者にお問い合わせください。
昭和大学医学部薬理学講座医科薬理学部門 佐々木 晶子(ささき あきこ)
TEL: 03-3784-8125
E-mail: sakiko@med.showa-u.ac.jp
▼本件リリース元
学校法人 昭和大学 総務部 総務課 大学広報係
TEL: 03-3784-8059
E-mail: press@ofc.showa-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/