三山凌輝「母親世代から『直明ちゃん』と声をかけられ、朝ドラの影響力を実感。俳優ではないBE:FIRST・RYOKIとのギャップも楽しんでもらえたら」

2025年2月6日(木)12時30分 婦人公論.jp


「僕自身は、直明ほどの好青年ではありません(笑)。でも根が素直で正直なところや、正面から物事と向き合うところは似ているなと思いながら演じていました」(撮影:小林ばく)

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NHK連続テレビ小説『虎に翼』で主人公・寅子の弟・猪爪直明役の好演が話題になった三山凌輝さん。俳優だけでなく、7人組ダンス&ボーカルグループBE:FIRSTのメンバー、RYOKIとしても活躍している。彼の運を引き寄せる力の源は、行動し続けるという姿勢にあった(構成:上田恵子 撮影:小林ばく)

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「直明ちゃん! 」とのギャップを楽しんで


昨年、NHK連続テレビ小説『虎に翼』で僕が演じたのは、家族思いの優しい青年・直明。役柄にも共演者の方々にも恵まれ、素晴らしい作品に参加させていただけたことを感謝しています。

BE:FIRSTとして音楽フェスに出演するため地方に行った際には、母親世代の方から「直明ちゃん!」と、声を掛けていただいて。朝ドラの影響力の大きさを実感しました。

僕自身は、直明ほどの好青年ではありません(笑)。でも根が素直で正直なところや、正面から物事と向き合うところは似ているなと思いながら演じていました。ライブなどで、俳優ではないBE:FIRSTのRYOKIを観てくださった方には、昭和時代の青年を演じた僕と、ラップを歌っている姿のギャップも楽しんでもらえたのではないかと思っています。

僕の俳優人生にとってもうひとつ大きな作品をあげるならば、2022年に公開された映画『HiGH & LOW THE WORST X』です。BE:FIRSTとしてデビューした直後にオファーをいただいて、タイミングとしてもありがたいご縁でした。

最初は違う役を演じる予定だったのですが、撮影に入る前の練習で、監督が僕のアクションを評価してくださり、瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平役に抜擢してくださって。撮影はハードでしたが、俳優として成長できたと思います。出演者同士の絆もどんどん深くなり、作品を通して大切な友人を得られた、僕にとって忘れられない作品です。

僕はおばあちゃん子で、幼い頃は祖母に面倒をみてもらっていました。祖母はすごく強い人で、僕が友達とケンカしたときなど、「1発殴られたら1000発返せ!」と言って、やり返すまで家に入れてくれないんです。普段はすごく優しいおばあちゃんなんですけどね(笑)。

実家は花屋を営んでいました。僕が2歳のとき、近くにインターナショナルスクールができたんです。開校祝いの花を届けることになり、僕もおじが運転する車の助手席に乗ってついて行ったところ、子どもたちが英語のレッスンを受けている姿に釘付けになった。

そこから動かない僕を見て、仕方なくおじは花と一緒に置いてきたそうなんです(笑)。親は、僕がどうやら英語に興味があるらしいと判断し、のちに僕はそこに通うようになりました。

祖母やおじに負けず劣らず、うちのオカンは自由人で、《フーテンの寅さん》みたいな人なんですよ(笑)。僕が5歳になった頃、オカンが突然「オーストラリアに行きたい」と言い出し、現地の知り合いを頼って渡豪することに。

僕も通訳として連れて行かれたのですが、帰国したら今度は「アメリカに行く!」と言い出して。それ以降5〜6年、オカンとともにオーストラリア、アメリカ、日本を行き来する生活を送りました。

大らかなオカンから教わったのは、人に好かれる、愛されることの大切さ。特に「人が嫌がることはするな。人を気遣える人間になれ」と厳しく言われて育ちました。でもそこさえちゃんとしていれば、あとは好きに生きなさいと自由にさせてくれたので、すごくありがたかったですね。僕の人格形成には、家族の影響が大きいと実感しています。

日常生活に困らない英語力を身につけられたのも、育った環境のおかげ。英語ができることは、芸能の仕事をするうえで強みになりますし、広い世界があることを、身をもって感じられたことは幸運だったと思います。今後もビジネスや社会的なテーマを語れるレベルを目標に、勉強を続けていくつもりです。

僕が持っているのは「めんどうな運」


幼稚園の頃に、地元・名古屋でスカウトされたこともある三山さん。当初芸能界には興味がなかったものの、中学生の頃に第一線で活躍する俳優をテレビで見て憧れるようになったという。俳優事務所に所属後、ドラマや映画、舞台で研鑽を積み、21年にボーイズグループ発掘オーディションに参加。見事勝ち抜き、BE:FIRSTとしてデビューを果たした。

——僕は周囲から「運がいいね」とよく言われます。自分としては、確かに運はいいけれど、持っているのは「めんどうな運」ではないかと(笑)。とんでもなくいいことも起こるけれど、経験しなくてもいいようなつらいことも起こる。良くも悪くも振り幅が大きい人生だと感じています。

なぜなんだろうと考えてみたのですが、それは多分、僕が目の前にあること一つひとつに向き合い、行動せずにはいられない人間だからだと思うんです。その中にはポジティブなこともあればネガティブなこともあって、その両方を引き寄せてしまっている。

何もせず、ただ静かに過ごしていれば失敗もないのでしょうが、そのぶん掴めるチャンスの数も少なくなるはず。事実、自分が「こうしたい」と思ったことは今日まで全部叶えてきました。——叶うまで努力し行動してきた、というほうが正しいでしょうか。

かなりエネルギーを消耗する生き方ですが、それが僕の人生ですし、これからもそうやって生きていくのだと思います。

「言霊」も意識していて、今後やりたいことを含め、「自分はこういう人間で、こんなことを考えています」と、できるだけ口に出すようにしているんです。

芸能界では、イメージが独り歩きすることがよくあります。昨日も取材で「三山さんはすごく元気な人だって聞きました!」と言われて(笑)。どうせならいいイメージが広まってほしいので、自分から積極的に自分のことを言って歩くようにしています。

また、転ぶことも多いけれど、ただでは起きたくない。たとえば、今回主演させていただいた映画『誰よりもつよく抱きしめて』で、僕は強迫性障害による潔癖症に悩む青年の役を演じています。

難しい設定ですが、ちょうどこの撮影期間中は、初めてというくらい、個人的にいろいろなことを深く考えている時期だったんです。これが幸いして、自然に役に入り込むことができた。

捉え方ひとつでネガティブな時期もポジティブに変換できるし、さまざまな感情が芸の肥やしになるのだと、身をもって感じた現場でした。

BE:FIRSTの7人が幸せでいられたら


昨年11月にデビュー3周年を迎え、現在はドームツアー中のBE:FIRST。今年はグループ初のワールドツアーも控えている。

——BE:FIRSTのメンバーとは、家族より長い時間をともに過ごしていますね。俳優の仕事をして戻ってくると、いつも通り迎えてくれて、「帰ってきたなあ」とホーム感を強く覚えます。

メンバーは根っからいい奴ばかり。僕はこの7人が出会ったことは運命だと考えていて、変な話ですが、メンバーのみんなが幸せで笑っていてくれたら、それだけで十分なんです。グループとして実現したいこともあるけれど、まずはメンバーの幸せが一番。

僕個人としても、ありがたいことに充実した毎日を送っています。俳優の仕事もアーティストとしての仕事も全力でやりたいので、家には寝に帰るだけの生活でも不満はありません。

ただ、揺るがず大切にしていきたいと思っていることはあります。たとえば、自分に嘘をつかないこと。自分の心は騙せませんから、違和感を抱えたまま進まず、納得したうえで行動することを心掛けています。

そのためにも、立ち止まって俯瞰して考える時間は大切にしたい。芸能界は、2〜3年先までスケジュールが決まっている世界。びっくりしてしまうけれど、これが現実ですから、日々の仕事に追われているとどんどん時間が過ぎてしまう。なので、僕は数年後、数十年後になりたい自分から逆算して、今すべきことをするようにしています。

そして何より、縁を大切にすることですね。何でもそうですが、人とのご縁から世界が広がっていくので。実は先ほどお話しした映画『誰よりも〜』の内田英治監督との出会いもそうでした。

たまたまお世話になっているプロデューサーさんと僕が同時期に韓国にいることがわかって。紹介したい人がいるから晩ごはんを食べようと連絡をもらい、駆け付けました。そこで監督とお会いし、ラーメンを食べながら話すことができた。

そのときの印象で出演を決めてくださったようなのですが、当時僕は赤髪の坊主頭だったんですよ(笑)。よく繊細な役に抜擢してくださったなと、あらためて感謝しています。

今後の夢としては、英語力を活かして海外のチームと関わる作品に挑戦してみたい。僕は人生を数十年先まで考えるタイプなので、50歳になったときのビジョンもあるのですが、近々に叶えたいことはそれですね。

昔から応援してくれている人たちには、「凌輝は何も変わってないね」とよく言われます。それは僕が言われて一番嬉しいこと。これからも驕ることなく、自分が思う道をまっすぐに歩いていきたいと思います。

婦人公論.jp

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