本郷和人『光る君へ』「有望な婿を取れ」と迫られたまひろは17歳前後。その年齢が結婚適齢期かといえば…<平安時代の結婚事情>

2024年3月18日(月)12時10分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。第十一話は「まどう心」。花山天皇(本郷奏多さん)が退位し、官職を失った為時(岸谷五朗さん)。まひろは、左大臣家の娘・倫子(黒木華さん)に父が復職できるよう口添えを頼むも断られて——といった話が展開しました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。今回は「平安時代の結婚事情」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

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平安時代の結婚事情


十一話で、まひろは段田安則さん演じる藤原兼家に対し、「父に官職を与えてほしい」と直談判しました。

そうした行動に「度胸がある」と称えた佐々木蔵之介さん演じる藤原宣孝からは、同時に「家計が心配なら、有望な婿を取れ」と助言されました。

あくまでドラマ内の時系列を整理すれば、花山天皇が即位した984年、15歳のまひろが道長に「6年前に母親を殺された」と明かしています。それから、花山天皇出家にまつわるクーデターが986年6月に起きた、とありましたから…

ドラマ内で「婿を取れ」と迫られたまひろこと紫式部は現在17歳前後、という設定になるでしょうか。

それを踏まえて今回は平安時代の結婚事情について考えてみたいと思います。

「赤とんぼ」の歌詞


話変わって、有名な童謡の「赤とんぼ」。


本郷和人先生が監修を務める大人気の平安クライム・サスペンス!『応天の門』(作:灰原薬/新潮社)

その三番の歌詞は「十五で姐やは嫁に行き お里のたよりも絶えはてた」でした。

作詞は三木露風という方で、大正10年の作といわれています。

大正10年は1921年ですからおおよそ100年前。

つまりそのころ、15歳で嫁に行くのがそこまで変わった話ではなかった、ということになるでしょうか。 

戦前の日本人の平均寿命


一方、現代に近づけば近づくほど、医学の進歩や食生活の向上、衛生観念の発達を理由として、人間の寿命は長くなっています。

信長が「人間50年〜」と歌ったのは有名ですが、夏目漱石も49歳で亡くなっていて、それで格別「若死に」とはいわれていません。

実際、日本人の平均寿命は戦前では50歳に到達していない。

それが今や男女ともに80歳くらいまでのびました。

女性の結婚適齢期を考えるには、こうした背景を考慮する必要があるでしょう。

現代の24歳は平安時代の15歳?


たとえば、現代の寿命の80歳が平安時代の50歳に相当すると仮に考えてみます。

すると、現代の24歳は平安時代の15歳。

現代の16歳が10歳に相当する計算になります。

10歳で結婚するのはさすがに幼すぎる印象がありますが、12、13歳になれば…ということになるのでしょうか。

整理すれば、当時は子どもが産めるようになると、「じゃあ結婚を考えようか」と周囲が動き出すのが自然だったのかもしれませんね。

※本稿は、『応天の門』(新潮社)に掲載されたコラムの一部を再編集したものです。

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