2025年大注目の「日本のアニメ映画12選」を全力紹介してみた!『たべっ子どうぶつ』をまずは見てほしい

2025年5月3日(土)9時10分 All About

2025年大注目の日本のアニメ映画を、一挙12作品紹介しましょう!まずは「お菓子の映画化」作品として素晴らしいクオリティーの『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』を見てほしいのです。 ※画像出典:(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

超メガヒット中の『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』は、公開からわずか10日間で興行収入は63.4億円を突破しました。
2025年にはほかにも注目日本のアニメ映画がたくさん劇場公開されます。ここでは、厳選した12作品の魅力や特徴を一挙に紹介しましょう。
特に、ゴールデンウイークに家族で見る映画としても最適な1つ目をぜひ優先してほしいのです。

1:『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』5月1日より公開中


ご存じギンビス社のお菓子のアニメ映画化作品で、キャッチコピーでも「まさかの映画化!」とあるように、映画化そのものに驚かれる人も多いでしょう。何しろお菓子である原作には「物語がない」ので、「キャラクターの背景や特徴も含めて1から作り上げる」必要があるのですから。
その内容は「まさかの大冒険!」そのものです。「凶悪な『わたあめ軍団』から世界と仲間の『ぺがさすちゃん』を救おうとする」といったストーリー。圧倒的不利な状況からの逆転を目指し、一触即発のサスペンスも展開する、良い意味でほのぼのなんてしていない、王道のハラハラドキドキのアクションアドベンチャーになっていたのです。主人公の「らいおんくん」が「天狗(てんぐ)」になってリーダーとしての資質を問われるといった「欠点」を持つキャラクターの特徴や、とある「負の感情」を克明に描く様など、子ども向けとしてはなかなかダークにも思えるところもあり、それも間違いなく必要なものでした。
キャラクターがお菓子であることに必然性のある設定や、そのお菓子の根源的な魅力に迫ること、さらにお菓子をもって世界平和を訴える真摯(しんし)さに、大きな感動があったのです。らいおんくん役のTravis Japan松田元太を筆頭としたボイスキャストも完璧にハマっていますし、劇中では「アイドル」でもあるたべっ子どうぶつのみんなをもっと大好きになれるでしょう。「バディもの」の要素は『ミッドナイト・ラン』、ダメダメなチームの奮闘は『ポリスアカデミー』からの影響もあるので、大人の映画ファンにも大推薦します。

2:『無名の人生』5月16日公開


短編作品で数々の賞を獲得した鈴木竜也監督が、原案・作画監督・美術監督・撮影監督・色彩設計・キャラクターデザイン・音楽・編集までもを兼任し、1年半かけて完成させた長編作品です。
あらすじは「いじめられっ子の少年がアイドルを目指す」というシンプルなもの。主人公はタイトルの「無名」が示すように「誰からも本当の名前を呼ばれることのなかった」人物です。簡素にも思える画ながら、バリエーションが豊かで飽きさせず、朴訥(ぼくとつ)とした語り口には独特の魅力があります。主人公の人生が波乱万丈という言葉でも足りないほどに目まぐるしく展開し、やがて「とんでもないところに連れて行かれる」物語にもなっていました。ある意味では荒唐無稽な「あり得ない」内容ですし、かなり残酷かつシビアな展開もあるため、ある程度の好みは分かれるでしょう。しかし、描かれる出来事の数々は「現実の世界にもあるもの」でした。たった93分の上映時間で、この困難でいっぱいの世界で生きていた人間の、とてつもない人生を見届けたことに、身震いするほどの感動がありました。絶対に映画館で見るべき、2025年ベスト候補の傑作であると断言します。
さて、ここからは筆者は未見ではありますが、ほかにも「間違いない」と思える2025年のアニメ映画を、テンポアップして一挙に紹介していきましょう。

3:『JUNK WORLD』6月13日公開


2021年に口コミでスマッシュヒットをした『JUNK HEAD』の続編です。最大の特徴は、人形や小物をちょっと動かして撮影、また、人形や小物をちょっと動かして撮影……という工程をひたすら繰り返す「ストップモーションアニメ」であること。前作は「広大な地下世界で展開するサバイバルアクション」の面白さに満ちていました。
今回の『JUNK WORLD』は前作より1042年前を描くという、「JUNKシリーズ三部作」の「エピソード1」に当たる内容になるそうです。物語は、地下世界の異変を探る調査チームがカルト教団に襲撃され、圧倒的な戦力の差に苦戦を強いられてしまうといった内容。制作期間は約3年で、さらなるストップモーションアニメとしての進化にも期待できます。

4:『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』6月27日公開


ハリウッド映画化もされた『A KITE』が高い評価を得た梅津泰臣監督と、『魔法少女まどか☆マギカ』のアニメスタジオ「シャフト」がタッグを組んだオリジナル作品で、「ヴァージン・パンク」シリーズの第1弾となるようです。
内容は、あらゆるけがや病気を克服できる技術を悪用する犯罪が急増した近未来で、賞金稼ぎの少女が犯罪者を容赦なく始末していくというサスペンスアクションになるようです。上映館がかなり限られているようですが、ハードでバイオレンスな大人向け作品としてコアな支持を集めるでしょう。

5:『ChaO』8月15日公開


『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』のアニメ制作会社「STUDIO 4℃」の最新作で、『人魚姫』をベースにしたオリジナル作品です。人間と人魚が共存する近未来世界を舞台に、平凡な青年と人魚王国の姫が織りなす恋の行方を追う、種族や身分を超えたラブストーリーが描かれるようです。
特報を見てみると、鈴鹿央士が『夏へのトンネル、さよならの出口』とは異なるキャラクターを好演しているようですし、何より姫役の山田杏奈の声がめちゃくちゃかわいい! ほかにも豪華なボイスキャストが発表されていますし、制作期間は7年、総作画枚数10万枚以上という労作だからこそ、緻密で大胆なアニメ表現を楽しめることも間違いないでしょう。

6:『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』8月29日公開


ディズニーアニメも有名な『不思議の国のアリス』の日本初となる劇場アニメ化作品。大学生が不思議の国で少女に出会い一緒に旅をするという、「年の離れた女性2人の冒険もの」というアレンジがされているようです。
川面恒介によるキャラクターデザインとP.A.WORKS制作であることからお仕事映画の名作『駒田蒸留所へようこそ』を思わせますし、なかなかエッジの効いた作劇もあった『トラペジウム』や『PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX』を手掛けた柿原優子が脚本を務めていること、『この世界の片隅に』のコトリンゴによる音楽、原菜乃華やマイカ・ピュの声の出演にも大期待です。

7:『アズワン/AS ONE』夏公開


劇場版『名探偵コナン』シリーズの静野孔文監督と、『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行がキャラクターデザインを手掛けた作品。原作となるのは高い評価を得たアーケードゲーム『星と翼のパラドクス』です。
静野監督は「ゲームセンターで原作に触れた世代には、懐かしさと新たな発見が共存する感動を、そして原作を知らない世代には、壮大な物語の始まりを予感していただけるでしょう」とも語っており、ゲームファンはもちろん、予備知識がなくても楽しめる内容になっていそうです。テレビアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』が注目されている今、新しいSFロボットアニメとして躍進するかもしれません。

8:『LOCA!』夏公開


学生クリエイター集団「スタジオ3号車」が制作する短編作品。その内容は「文明が崩壊した世界で生きる2人の少女が、電車に乗って旅をする日常譚—」とのこと。予告編などで分かる「緑に覆われ荒廃しながらも、最先端技術で動く機械が随所に残されている世界」における旅路がとても魅力的に感じられます。
同作はMIFA(アヌシー国際アニメーション映画祭併設マーケット)のインディーアニメ特集ブースにも出展されるとのこと。公式Webサイトでは、世界観やかわいいキャラクターの情報はもちろん、スタッフとキャストによるアツくてうれしそうな「直筆」も含めたコメントの数々が読めるので、ぜひ見てみてほしいです。

9:『ひゃくえむ。』9月19日公開


テレビアニメ版も絶賛された漫画『チ。—地球の運動について—』の魚豊による、連載デビュー作の劇場アニメ化作品です。描かれるのは陸上競技で、100m走で10秒に満たない一瞬の輝きに魅せられた者たちの「狂気と情熱」を描く内容になっているそうです。
監督は長編1作目『音楽』で国内外の多数の映画賞で高い評価を受けた岩井澤健治。アヌシー国際アニメーション映画祭の「Work in Progress」に選出されており、本編にはスタッフはもちろん、ボイスキャストの松坂桃李染谷将太の情熱もたっぷり込められていることでしょう。

10:『ホウセンカ』秋公開


口コミで人気を博したテレビアニメ『オッドタクシー』の木下麦監督と此元和津也の原作・脚本のタッグの最新作にして、『映画大好きポンポさん』の制作会社「CLAP」による初のオリジナル作品です。
物語は、人の言葉を操るホウセンカが、独房で孤独な死を迎えようとしていた無期懲役囚の老人に声をかけ、その会話の中で、老人は自身の過去を振り返り始める……というもの。驚きの展開が待ち受ける優れた群像劇だった『オッドタクシー』のエッセンスは、今回も盛り込まれていそうです。

11:『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』12月5日公開


同名漫画の映画化作品で、1万人の日本兵が送り込まれ、生き残ったのはたった34人といわれる、1944年の「ペリリューの戦い」を追う作品。監督はテレビアニメ『魔都精兵のスレイブ』などの久慈悟郎です。
原作者の武田一義は監修と共同脚本にも関わっており、公式Webサイトでは脚本の完成までに本当に長い長い時間をかけたことや、脚本は「原作ファンの皆様にも自信を持ってお届けできる」内容になったことが語られています。『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』などの戦争を描いたアニメ映画の名作に名を連ねるのかもしれません。

12:『花緑青が明ける日に』2025年公開


『君の名は。』の回想シーンや『この世界の片隅に』の水彩画を手掛けた画家・四宮義俊が8年がかりで原作・脚本・監督を務めあげたオリジナル作品です。花緑青(はなろくしょう)とは、かつては花火の材料に使われていた、燃やすと青くなる緑色の顔料で、毒性を含むため、現在ではほとんど使用されなくなったのだとか。
描かれるのは、立ち退きが迫る花火工場を舞台にした「幻の花火」を巡る2日間の物語。2人の若者が再会して驚きの計画を立てるという、「自分たちの選択をつかみとっていく」若者たちの姿を映した新たな青春映画になっているようです。若手実力派俳優の萩原利久と古川琴音の声の演技にも期待できます。

細田守監督最新作など、注目作品はほかにも!

そのほか、特大ヒット間違いなしの人気漫画やアニメの劇場版には、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』(7月18日公開)と『チェンソーマン レゼ篇』(9月19日公開)があります。
さらに言わずもがな、注目したいのは『サマーウォーズ』『竜とそばかすの姫』を手掛けた細田守監督による最新作『果てしなきスカーレット』(11月21日公開)。細田監督のコメントを見ると、「アフターコロナ」も反映した「戦争」「報復」の物語になっているようです。ビジュアルでは細田監督の中でも特にダークな『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』に近い印象も持ちます。
さらに、極めて小規模公開の作品では、「正気では生み出せない陽気な地獄と評された狂気のニューウェーブ・レトロ長編アニメーション」と銘打たれた『ORLIK』(アップリンク吉祥寺で5月23日公開)、自主制作の「百合(女の子同士の恋愛)ロボットアニメ」『忘星のヴァリシア 第二章:群青』(『第一章:劫火』と2本立てで下北沢トリウッドで5月30日公開)も気になるところです。

そのほかの日本のアニメ映画も一挙ラインアップ!

さらに、テレビアニメの先行公開や総集編を除いた、アニメ映画のラインアップも一挙にあげておきましょう。
5月9日『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』
5月16日『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』
5月23日『ドラゴン・ハート 霊界探訪記』
5月23日『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第4章』
5月23日『怪盗クイーンの優雅な休暇(バカンス)』
6月27日『KING OF PRISM-Your Endless Call-み〜んなきらめけ!プリズム☆ツアーズ』
6月27日『映画 それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』
6月27日『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』
6月27日『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』
7月18日『遠井さんは青春したい!『バカとスマホとロマンスと』』
8月8日『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
8月22日『映画 おでかけ子ザメ とかいのおともだち』
9月12日『映画キミとアイドルプリキュア♪』
10月10日『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第四章 水色の乙女(サーシャ)』
10月24日『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』
秋『映画すみっコぐらし4(仮)』
秋『アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ-』
秋『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第2章』
冬『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!』
冬『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』
さらに、2026年公開作品では『KILLTUBE』『クスノキの番人』『楽園追放 心のレゾナンス』『カラビ・ヤゥの隙間』『つるばみ色のなぎ子たち』も待ち受けています。
たくさんの日本のアニメ映画の情報で心も期待もいっぱいですが、まずはお菓子の映画化作品として「これが正解」と言えるアプローチで、子どもから大人まで楽しめる王道のエンタメに仕上がっている『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』から見てみてください。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)

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