桂吉弥「米朝になるんやない。米朝(役)をやる」米朝さん長男・米団治「名前は譲れない」NHKドラマ撮影
2025年5月8日(木)17時23分 スポーツニッポン
落語家の桂吉弥(54)が8日、NHK大阪放送局で6月21日放送の同局ドラマ「桂米朝〜この世に上方落語を残した男(仮題)」(後7・30〜8・42)の撮影後、会見に臨んだ。米朝役を演じた吉弥は、2015年に89歳で亡くなったその孫弟子。兵庫県尼崎市の米朝さん宅で内弟子をした経験があり、同局番組へ出演する米朝さんを運転手で送迎したこともあったという。
この日収録されたのは戦後間もない1947年9月、若き日の米朝が後の師匠、4代目桂米団治の住む長屋を訪ね、弟子入りを申し込むシーン。4代目を米朝さんの長男・5代目桂米団治(66)が演じた。
収録後の会見では「ドラマで(米朝役を)やると決まってから一斉に“おめでとう”と。米朝になるんやない。米朝(役)をやるんやから」と吉弥が苦笑い。米朝さんが育てた名跡をまるで継ぐかのような配役に、米団治は「米朝の名前は譲れない。米朝の名前は5000万円くらいで」とツッコミを入れて笑いを誘った。
米朝さんの生誕と同局の開局が同じ1925年という縁が発端になったドラマ。また戦後、存亡の危機にあった上方落語の復興を米朝さんが同局ラジオ「歌のショーウィンドー」などに出演して実現したことも紹介された。
この日の撮影では、米朝が4代目から「上方落語に未来はない。落語で生きているなんて無理な話や」と一度は入門を断られるシーンを撮影した。現在でこそ300人近くの噺家がいる上方落語協会。天満天神繁昌亭、神戸新開地・喜楽館、動楽亭と常設の寄席も充実するが、吉弥によれば「ただ、毎年の入門者1人とか。職業として考えてもらえてないということだし、お客さんにはもっと若い人にも来てもらいたい。“未来はない”は今、考えなあかんと思うし、放送されるのは刺激になる」。劇中の言葉を我が身に捉え直して訴えた。
ナレーションは、07年度後期のNHK朝ドラ「ちりとてちん」に主演し、女性落語家を演じた貫地谷しほり(39)が務めた。