映画「ルノワール」カンヌで公式上映 約6分間のスタオベ、観客熱狂 早川千絵監督「胸がいっぱい」
2025年5月18日(日)10時52分 スポーツニッポン
子役の鈴木唯(12)主演の映画「ルノワール」(6月20日公開、監督早川千絵)が17日(日本時間18日)、第78回カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」を競うコンペティション部門でワールドプレミア上映された。早川監督、鈴木、石田ひかり、リリー・フランキーが上映後に行われた日本メディア向けの囲み取材に応じた。
ワールドプレミア上映が行われたパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレのシアター・リュミエールの約2300席は満席。本編の終盤、エンドロールに差し掛かるやいなや、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、劇場を埋め尽くした観客たちから約6分間のスタンディングオベーションで賞賛を受けた。
早川監督は「映画祭の1番大きいリュミエールで上映するのは初めてでしたが、場内の熱気が段違いで、胸がいっぱいになりました」と感慨。本作を制作するにあたり「子どもに演出をするのは難しいだろうなと覚悟を持って挑んだ」とも明かし、主演の鈴木について「唯ちゃんは何も言わなくても演技をしてくれて、監督としては非常に楽でした。どうやったらこんなふうにできるんだろうなって思うことばかり。唯ちゃん様々でした」と鈴木の柔軟さと高い演技力に感謝を口にした。
鈴木は「私は、俳優を始めてたった2年でカンヌに行けてしまい、びっくりしています。自分が想像していた以上に、観客の皆さんがワァーと反応してくれたり、“ユイ”って声を掛けてくれたり、(今までに自分が)見たことがないぐらいの数の人に映画を観てもらえて、すごく嬉しかったです」と語り、「経験したことがないことばかりでびっくりしたけど、あ〜めっちゃくちゃうれしいなぁって身体の底から感じました」とはにかんだ。
石田は「海外の映画祭に参加するのは、35年の俳優人生で初めての体験」だと話し、「海外の観客の映画を観てやるぞという意気込み、クレジットひとつひとつに拍手が起こることに驚きました。映画に対する真摯さと温かさを感じました」とコメント。
リリーは「この映画のすばらしさが前評判として観客に伝わっていたと思うが、真剣に映画を観ていることがひしひしと感じられました」と上映中の様子を明かし、「スタンディングオベーションをいただけるのは嬉しいのですが、いつも座持ちがしないなと思っていたんです。でも、唯ちゃんが居ると何分でもできるなって、楽しかったです」とユーモアたっぷりに振り返った。
早川監督は「PLAN75」を出品した2022年以来3年ぶり2度目のカンヌとなる。舞台はバブル経済絶頂期の1980年代。感受性豊かな少女が、不完全な大人の世界をのぞきながら、心の痛みに触れていくまでを描く。石田、リリーの他にも、中島歩、河合優実、坂東龍汰らが共演する。