北朝鮮の14歳が「運命の5分間」で容赦なき見せしめ

2025年1月31日(金)5時2分 デイリーNKジャパン

韓国デイリーNKは昨年、北朝鮮が非公開としていた「未成年犯罪防止法」(以下、防止法)の全文を入手した。同法は2020年9月25日に最高人民会議常任委員会政令で定められながら、公式な発表はいっさいなかった。


同法は、未成年(14歳未満)がいわゆる「不良行為」に走るのを防止する内容だが、条文から読み取れる主な目的は韓流文化の影響からの遮断だ。北朝鮮では同年12月、やはり韓流取り締まりを目的に、最高刑を死刑とする「反動思想文化排撃法」が制定されている。それに先立ち、未成年を狙い撃ちにする法律が別途定められていたのは注目に値する。


ちなみに北朝鮮の法体系では、14歳未満は刑事罰に問われない。そこで防止法では、未成年者が違反して厳重な結果をもたらした場合には、その教養(教育)に責任のある者に行政的あるいは刑事的責任を問うとしている。


確かに、北朝鮮内部からはこの間、韓流がらみで死刑が執行されたとの情報が数多く伝えられているが、14歳未満に重罰が下されたとする話はまだない。その一方、十代の中高生を含む14歳以上の少年少女には容赦なく長期の懲役刑が下されており、処刑された事例までが報告されている。


つまり防止法の制定により、14歳未満は韓流に触れても直接刑事罰を受けないよう保護されたが、それと同時に、14歳以上は大人と同様に扱われることが決まったのだろう。


実際に2021年11月7日、当時14歳の中学生に14年もの労働教化(懲役)刑が言い渡されているが、これもこうした流れに沿ったものだったのだろう。ちなみにこの中学生は、2010年に公開されたウォン・ビン主演の韓国映画「アジョシ」を、たった5分間見ただけだったという。



その後も、北朝鮮からは十代の少年少女に対する過酷な処罰の話が伝えられ続けた。それも噂話の類だけではなく、北朝鮮当局が作った「見せしめ映像」を通じて確認された事例さえある。


さらに2023年2月には、韓国の脱北者団体などが贈ってくるビラや記録媒体を保管したり流布したりすることを禁じる「敵地物処理法」が制定されたことで、北朝鮮の少年少女が重罰を受けるリスクはさらに高まったかもしれない。


これら一連の法律の制定時期とその内容、そして、同じころに北朝鮮内部から伝わってきた「重罰情報」の関連性を、これから確認していこうと思う。

デイリーNKジャパン

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