ロシアがウクライナ4州全域からの撤退要求か…高官級協議、事実上決裂
2025年5月17日(土)0時38分 読売新聞
16日、イスタンブールで行われたウクライナとロシアの代表団による直接協議=ロイター
【イスタンブール=蒔田一彦】ロシアによるウクライナ侵略を巡る和平に向けた両国の高官級協議が16日、トルコ・イスタンブールで開かれた。ロシアは領土に関する要求などで妥協しない立場を明確にし、2022年3月以来となった対面での直接協議は事実上、決裂に終わった。ウクライナが求めていた30日間の無条件停戦についても合意に至らなかったとみられる。
露側はウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官が、ウクライナ側はルステム・ウメロフ国防相が代表団を率いた。米CNNによると、協議は2時間弱行われ、露側は侵略を続けるウクライナ東・南部4州について、現状で占領下にない地域も含めて全域からウクライナ軍に撤退するよう要求したという。
ロイター通信によると、ウクライナ筋は露側の主張に関して「現実離れしており、これまでの要求をはるかに超えている」と述べた。
メジンスキー氏は協議後、記者団に対し、「結果に満足している。交渉を継続する用意がある」とも語った。双方が1000人の捕虜交換で合意し、ウクライナ側がウォロディミル・ゼレンスキー大統領とプーチン露大統領との直接交渉を求めたことも明らかにした。
ロイターによると、ウメロフ氏は協議後の記者会見で、「次のステップは首脳レベルの協議だ」と強調した。代表団の一人も「多くの問題は首脳レベルでしか解決できない」と指摘し、プーチン氏に早期に首脳会談に応じるよう訴えた。