JSR、高速・低電力な「反強磁性MRAM」東大らと開発へ 知財ビジネスも

2025年2月20日(木)15時0分 マイナビニュース


電子材料大手のJSRは、東京大学などと共同で新構造の磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリー(MRAM)「反強磁性MRAM」開発を推進する。強い磁場がなくても電子のスピンを制御できる特殊な材料を基に、長年蓄積した豊富な実験データとシミュレーションを駆使し、既存のMRAMよりも処理性能と電力効率が桁違いに優れる不揮発性メモリーを実現する。
MRAMの主な用途はこれまで自動車やFA(ファクトリーオートメーション)分野とされていたが、データセンターの消費電力を大幅に削減するなど、省エネ需要も見込めるようになった。新たなMRAM開発によって、「先端材料に加えて電子デバイスの知財(IP)ビジネスにも手を広げたい」と菅原周一RDテクノロジー・デジタル変革センター長研究企画第一部長は話す。
強磁性体MRAMとはなにか
電気を切っても保持した情報が消えない不揮発性メモリーのMRAMは、絶縁体を強磁性体(磁石)ではさんだMTJ(マグネット・トンネル・ジャンクション)素子が心臓部。既存の不揮発性メモリーにはない高速動作とほぼ無限といえる書き換え可能回数は、DRAMやSRAMを代替するものとして十年以上前から期待されている。今後素子の微細化が進み、ギガバイト(GB)級の記録容量が実現すればワークメモリーとして一気に存在感が高まる見通しだ。
当初のトグル型MRAMは、外部から強い磁場を印加することで磁性層の磁化の方向を制御し、電気抵抗の変化をつかって読み書きを行う。生産はしやすい反面、容量を増やすために素子を微細化すると消費電力が増大するという課題があった。現在主流のスピン移行トルク磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)は、電子のスピンを制御して磁化を反転させるもので、素子の接合面積が小さくなるぶん、小電流で済むことから微細化に向いている。
STT-MRAMの技術開発は活発で、2024年には東北大学電気通信研究所が、既存の強磁性体(CoFeB)/絶縁体(MgO)材料を用いながら直径1桁ナノメートル台にまで素子を微細化する技術を発表している。
異常ホール効果を応用する、反強磁性MRAM
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