富士通×Supermicro×ニデック、データセンター向け水冷技術開発で協業を開始

2025年4月17日(木)13時6分 マイナビニュース


富士通は4月17日、Super Micro Computer(以下、Supermicro)およびニデックと、データセンターのエネルギー効率向上を目指し世界トップレベルのPUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)実現に向けた協業に合意したことを発表した。
3社は今回の協業において、SupermicroのGPUサーバと、富士通の水冷ハードウェア技術および水冷監視制御ソフトウェア、ニデックの冷却システムを組み合わせ、エネルギー効率に優れたデータセンター運営を可能にするソリューション開発を進める。
開発したソリューションは富士通の館林データセンターにて効果検証を行い、2025年度第4四半期までに世界トップレベルのPUEが期待できるデータセンター環境の提供を目指すとのことだ。
○協業の背景
近年はAIの急速な普及に伴うコンピューティングの需要増加に対応するため、世界各国でデータセンターの建設が相次ぎ電力供給量の増加が社会課題となっている。これはAIサーバに用いられるGPUの演算量増加による発熱量の増加に起因するもので、その冷却に膨大な電力が使用される。
現在運用されている多くのデータセンターが採用している空冷方式はPUEが平均1.6であるのに対し、水冷方式は平均PUE1.2(富士通調べ)と高い冷却効率を実現できるが、水冷方式のシステム設計や構築、運用には専門知識とスキルを要するため導入のハードルが高く、普及は進んでいない。
3社はこうした課題の解決に貢献するため協業を開始し、データセンターにおける冷却電力削減に取り組む。
○協業における各社の役割
富士通はスーパーコンピュータやミッションクリティカル領域のサーバ群向けとして40年培ってきた水冷技術と、それを支えるソフトウェア技術を有する。これらを生かして、水冷ハードウェアとサーバの状態をリアルタイムで監視し、複数のCDU(Cooling Distribution Unit:冷却水分配ユニット)などを統合管理する水冷監視制御ソフトウェアを新たに開発し、冷却システム全体の高信頼性・高可用性・高効率性の実現を目指す。従来の空冷方式と比較して、データセンター全体のエネルギー効率を最大40%向上できる見込みだという。
Supermicroは水冷方式を前提にGPUの演算能力を最大限に引き出す、高密度かつ高性能なAIサーバシステムを提供する。これにより、空冷ファンが不要となるためサーバの電力消費を削減するとともに、低騒音や設置環境温度低減などのサーバ設置環境の改善にも貢献する。
ニデックはCDUを中心とした高効率な冷却システムを提供。同社グループの技術力を結集し、内製ポンプを始め水冷に関わる技術と知見を投入し、サーバ内の熱管理の最適化、サーバシステム全体の省エネルギー化を実現することで、電力削減に貢献する。
なお、富士通は水冷技術によるデータセンター冷却トータルソリューションサービス「Fujitsu Liquid Cooling Management for Datacenter」を、2025年度第1四半期に提供開始予定。同サービスは新たにデータセンターの水冷対応を検討する企業や、さらなるデータセンターの省エネルギー化を目指す企業に向け、導入検討・計画段階から構築、運用・保守にわたりライフサイクル全般をワンストップで支援する。ハードウェアからソフトウェア、保守サポートまでオールインワンで、初期投資費用を抑えて導入できるサブスクリプション型で提供するという。

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