ホーナー事件の結末から見えるレッドブル社内の勢力図。株主同士の権力闘争が激化
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナーは、F1開幕戦でチームの指揮をとるために、水曜夜、ヘルムート・マルコとともにプライベートジェットでバーレーンに到着、その後、自分がチーム代表の座を失わずに済むことを知った。ホーナーが不適切な行為をしたという女性従業員からの告発を受けたレッドブル社は、調査を行った結果、この告発を却下することを発表したのだ。
こうしてホーナーにとっては最悪の時期は過ぎ去った。しかしレッドブル社内で進行中のふたつの派閥間の権力闘争が終わったわけではない。ホーナーが代表の座を守ったことから、レッドブル社のふたつの株主のうち、現在どちらが優勢かが明確になった。
レッドブル社の立ち上げの際、オーストリアのディートリッヒ・マテシッツが株式の49パーセントを保有し、タイの事業家チャリアオ・ユーウィッタヤーが51パーセントを取得、そのうち2パーセントは長男に譲った。
マテシッツはレッドブル社を自分が望むように経営する完全な自由を与えられ、驚くべきマーケティングキャンペーンを展開して大きな利益を獲得。ユーウィッタヤーはそれによって自分が得た利益を他のビジネスに再投資した。
2012年にチャリアオ・ユーウィッタヤーが亡くなると、息子チャルーム・ユーウィッタヤーがレッドブル社の株式51パーセントを所有することになった。チャルームはホーナーと極めて親しい間柄になった。そしてマテシッツが2022年に死去し、マルク・マテシッツが父親が所有していた株式を引き継いだ。
そして今、レッドブル社において、F1チームをどのように前進させるかについて、異なるふたつのビジョンが存在し、タイ側とオーストリア側で軋轢が生まれているようだ。
レッドブルのある関係者によると、オーストリア側は、レッドブル・レーシング、レッドブル・テクノロジー、レッドブル・パワートレインズについての支配権を拡大することを計画している。ホーナーは2005年以来そうであったように、自分がレース部門を完全に支配することを望んでいるため、オーストリア側の動きを何としても阻止したい考えだ。
ホーナーの望みは、親会社レッドブルからF1事業を完全に切り離すことであり、自動車とレースが大好きなチャルーム・ユーウィッタヤーに対して、レース部門の単独のオーナーになるよう説得を試みている。それが実現すれば、レッドブル社の取締役会は、レース部門に口を出せなくなり、ホーナーは、タイのオーナーの支持のもとで、自由にF1部門を運営できる。そして、レッドブル社はスポンサーとしてチーム名称に残り続けるというわけだ。
両者の権力闘争はしばらくは決着はつかないだろう。ただ、今回ホーナーが厳しい調査を乗り切って生き延びたことから、現時点ではタイ側が優勢だと推測される。
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