【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第12/13戦】将来を切り開く一歩になったか。リカルド相手に示した実力
F1での3年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第12戦ハンガリーと第13戦ベルギーについて語ってもらった。
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私はずっと前から、角田には才能があると知っていた。多くの人々は、「ニック・デ・フリースはまだF1に慣れていなかったのだから、角田が優勢なのは不思議ではない」と言い立てていた。そしてハンガリーGPの後には、「レースから8カ月も離れていて、全く知らないマシンに乗ったばかりのダニエル・リカルドに負けるなんて」とも言われた。
ベルギーが終わった今、彼らがどういう意見を持っているのかを聞きたいものだ。手のひらを返して、ドライバー・オブ・ザ・デーの票を角田に入れたのか、あるいは、完全に沈黙してしまったのか。改めてここで私が言いたいのは、モータースポーツに関して何かを語りたいなら、まずはすべての事実を知り、分析し、熟考すべきだということだ。
「あなただってそれほど深い分析をしているようには思えませんけど……」って、君は失礼だな。私は1980年代に小さなF3チームのオーナーだったころから、本物の宝石になる若いドライバーを見つけ出す天性の才能を持っていた。だからこそ、財を成して今の地位を築き、皆から意見を求められる存在になったのだ。君も少しは尊敬しなさい。
さて、話を戻して、サマーブレイク前の2戦を角田がどう戦ったかを振り返ろう。ハンガリーでは、彼はFP1でのコースオフで、新しいフロントウイングを壊してしまい、それ以降は古い仕様を使わなければならなかった。つまり、角田が乗っていたマシンは、リカルドのマシンよりも遅かったわけだ。それでも、予選Q1での差はわずか0.013秒だった。新しいフロントウイングはそれ以上の速さをもたらしていたはずだ。
ハンガリーの決勝日、チームは角田をトラフィックから脱出させるために、早めにピットに呼び戻した。しかしピットストップ作業の遅れで4秒失い、結局アレクサンダー・アルボンの後ろを20周以上走り続ける羽目になった。アルボンがようやくピットインした時には、角田のタイヤは終わっていたため、スティントを延長するのは良い考えとはいえなかったと思う。チームは、リカルドのポイント獲得のチャンスを拡大するために、角田にランス・ストロールを抑えさせようとしたのだろうか。
終盤、ローガン・サージェントがスピンした後、角田はフリーエアで走る機会があり、その際に、リカルドのベストラップよりも0.7秒速いタイムをたたき出した。これは注目すべきポイントだと思う。
ハンガリーでリカルドが誰がボスかを示した後、スプリント・フォーマットのスパを迎えた。プレッシャーがかかっていた角田だが、とてもうまく反応した。FP1では7番手、雨がらみの金曜予選では11番手を獲得した。ドライコンディション用にセットアップされたマシンだったことを考えると素晴らしい。
路面がかなり濡れていたスプリント・シュートアウトでは16番手に沈み、スプリントレースではずっと後方を走り続けた。しかし日曜日にはほぼ一貫してトップ10圏内を走り続け、何度か大胆で積極的なアクションを見せて、最終的にチームに今季3点目を持ち帰った。あと1周あれば、ストロールを抜いていたかもしれない。
角田はスパで、計算された適度な攻撃性のある走りをした。それを見て思うのは、2025年にセルジオ・ペレスのシートを狙えるポテンシャルがあるのは、リカルドだけではない、角田も候補者のひとりに入れる必要がある、ということだ。
そういう主張をしたのは私が初めてではなかろうか。2025年にもしも角田が昇格を果たしたなら、そのことをぜひ思い出してもらいたい。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
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