「4番が打てないと回らない」――忘れがたい唇をかみしめた夜 藤川阪神の「4番・森下翔太」に惹かれる理由

2025年2月25日(火)11時20分 ココカラネクスト

藤川新体制下の阪神で4番を任さている森下。その存在感は日増しに強まっている。(C)産経新聞社

 “新生”阪神打線が、すこぶる調子がいい。2月24日に行われたDeNAとの練習試合(バイトするならエントリー宜野座スタジアム)では、14安打、9得点で9-2と快勝。これで今キャンプでの対外試合3戦で通算46安打を放ち、開幕に向けた順調な仕上がりを感じさせている。

 2年間で日本一も経験した岡田彰布前監督から藤川球児新監督に交代した今季の阪神。タイトル奪還が求められる中で、攻撃陣の復調こそが優勝へのカギとなるとみられている。

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 レギュラーシーズンで巨人に競り負けた2位となった昨季のチーム打率はセ・リーグ5位(.242)。チームOPSも.641と低調な数字となり、岡田前監督もシーズン中に「3、4点取れたらそら楽よ、はっきり言うて。そのくらい(3、4点)の計算できたらなあ。1点、2点なるからしんどなってくるんや」とぼやいたように、理想とした「3点を取る野球」ができなかった。

 打線をいかにテコ入れするか。“恩師”からバトンを受け取った藤川監督の手腕が問われる部分であるのだが、まずは効果が出ているように思える。とりわけ興味深いのは、新指揮官が早々と4番抜擢を明言した森下翔太の現状だ。

 今キャンプは腰痛で2月12日から別メニュー調整を続けてきた背番号1だったが、23日に中日とのオープン戦で実戦復帰。1打席目から左翼スタンドに本塁打を放つと、24日のDeNA戦でも相手左腕・庄司陽斗の投じた高めに浮いた4シームを完璧に捉え、左中間スタンドに放り込んだ。

 無論、開幕まで時間はあり、競争は続いていく。レギュラー核と言える森下とて“絶対”はない。それでもスイートポイントでしっかりと捉えられている打撃内容からして、若武者の存在は頼もしい限りだ。

 成長著しい24歳が「4番への想い」を強く見せたことがある。それは昨年11月に開催されたプレミア12での一コマだ。

 初の代表入りを果たした森下は、井端弘和監督から侍ジャパンの4番に据えられると、大会を通じて打率.357、1本塁打、出塁率.459、OPS1.031とハイアベレージを記録。打線の核となったわけだが、台湾代表での決勝戦ではチャンスで凡退。チームが連覇を逃した試合後には「やっぱり4番が打てないとチームが回らない」と唇をかみしめていた。

 嬉々として“世界制覇”を喜ぶ台湾ナインを尻目に、「絶対、技術的にアップしたい」と悔し気な表情を浮かべた。うつむき加減に打てなかった責任を痛感するその顔は、往年の「虎の4番」たちが見せてきたそれでもあった。

 23年の日本一を達成した選手も残り、盤石と言える投手陣を活かす意味でも打線の活発化は必須。無論、1番から9番までの絡みがカギとなるが、その中心を若き主砲が担っていくようになれば、阪神の黄金期は間違いなく訪れる。藤川監督をはじめとする首脳陣もそこを期待しているはずである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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