路面改修にも一役買った山本尚貴アスリート委員長。外部スタッフ登用含めた今後の方向性語る

2025年3月7日(金)16時54分 AUTOSPORT web


 2月26日にアナウンスされたとおり、全日本スーパーフォーミュラ選手権を開催する日本レースプロモーション(JRP)は「安全で魅力的なレース運営やファンサービス等の施策において、選手目線の意見を取り入れることを目的」として、今年新たに『アスリート委員会』を設置し、昨年限りでスーパーフォーミュラのシートから退いた山本尚貴氏が初代委員長に就任した。


 3月7日、開幕戦を翌日に控えた鈴鹿サーキットでのJRPの『フライデーミーティング』では、山本委員長がJRPの近藤真彦会長、上野禎久社長とともに登壇し、委員会が設立された経緯やこれからの取り組みなどについて語った。



 JRPの黒いウエアを着用した山本委員長は、「まさか、このジャケットに袖を通す日が来るとは思っていなかったんですけど」と笑顔で前置きしながら、就任までの経緯を語った。


「以前からお声がけをいただいて、スーパーフォーミュラを盛り上げて欲しいという言葉を近藤会長、上野社長から頂き、15年間参戦してきたスーパーフォーミュラでの自分の経験を何か役立てたらと僕も常々思っていました」


 山本委員長はこれまでもスーパーフォーミュラ参戦ドライバーで構成されるFRDA(フォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション)の会長を務めてきたが、今回新設されたアスリート委員会はJRPに対して諮問する立場にあり、“選手会”的位置付けのFRDAとは成り立ちが異なる。


「FRDAはあくまでも選手が主体となった団体であり、いままでもドライバーの声は聞いていただいてはいたのですが、よりその声をしっかりと聞いて・参考にしてもらいながら、より安全かつ魅力的なレースにできるようにということで、JRPの中に設置をしていただきました」


 その中での自らの役割としては、JRPやJAFなどシリーズを盛り上げるべく取り組んでいる組織の立場と、レースを戦うドライバーの間の「パイプ役を担えたら」と説明する。


 上野社長は「我々にはオーナー会議という会議体があり、オーナーさんたちの意見を集約して経営に活かすという諮問機関的な役割を果たしてもらっていますが、ドライバーサイドにはその機能がありませんでした」と補足して説明する。


「ドライバーはこのレースの主役ですし、我々は『ヒューマン・モータースポーツ』というテーマを掲げているシリーズですから、ドライバーからシリーズを良くするためにもっともっといろんな意見が出てくる。僕は建設的な話をいろいろな場で非公式には聞いているのですが、そういったところをしっかりとまとめて我々の経営に諮問して欲しいという話が前々からあり、尚貴さんと話すなかで『こういう活動って必要だよね』と合意し、『ぜひ(委員長を)やってほしい』と」


■テスト中止が決まったあとに鳴った電話


 12月、2月に鈴鹿で行われた公式テストにも帯同し、すでに仕事の一部を事実上スタートさせていた山本委員長。ひとつ、その成果が早くも現れたのが、改修された鈴鹿サーキットの路面に対するドライバーの意見の収集だった。


「実際、鈴鹿サーキットさんから直接、ご相談がありました。『改修したことで、実際(ドライバーからの)声ってどうですか』と」と山本委員長。サーキット側からその相談があったのは、2月の公式テスト2日目が降雪により中止になった直後のこと。サーキットを出ようとしていた直前に、電話が鳴ったのだという。


「僕もなるべくドライバーみんなと話そうと思って時間を割いていた中で、やはりいままでになかったバンプが生まれたという声は全員から上がっていました。とくにレコードラインにあったので危ないという声はあって、それはしっかりと事実をお伝えさせていただきました」


 そこから約2週間、サーキット側はターン3とターン7の当該箇所を再舗装して開幕を迎えたが、あまりの迅速な対応に「まさか直ると思っていなかった」と山本委員長は驚きの表情を浮かべていた。


 なお、『委員会』という組織ではあるものの、現状のメンバーは山本委員長ただひとり。ただ、今後はさらなる『委員』の登用が予定されており、「外部有識者や、他のスポーツを含めてさまざまな方からご意見をいただけるような環境の方が、新しい価値が作れるかなという思いもあり、必ずしもドライバー経験者しか入れないというわけではない」(上野社長)としている。


 山本委員長も、「どうしても、この“村”に居続けることによって見えなくなっている部分はあるのかなと思っているので」と、外部からの委員登用について積極的な構えを示唆している。


 スーパーフォーミュラをより良いものにしていくのと同時に、ドライバーの“セカンドキャリア”として、チームの監督やアドバイザー以外にも後進に“道”をつくりたいという思いもあり、「このポジションに就くことが魅力的に映るように頑張りたい」と山本委員長。この先、どんな変化がシリーズ周辺に生まれるのか、注目していきたいところだ。


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