湘南ベルマーレ、低迷期の悪癖がちらほら。今季初黒星のヴィッセル神戸戦を検証

2025年3月19日(水)18時0分 FOOTBALL TRIBE

エリキ(左)畑大雅(右)写真:Getty Images

2025明治安田J1リーグ第6節の計10試合が、3月15日と16日に各地で行われた。湘南ベルマーレは16日、本拠地レモンガススタジアム平塚にてヴィッセル神戸と対戦。最終スコア1-2で敗れている。


今季のリーグ戦初黒星を喫した湘南。前半24分に相手FWエリキにフリーキックのこぼれ球をゴールに結びつけられると、同37分にも中盤でのボールロストから速攻を浴び、エリキに追加点を奪われる。後半6分にDF畑大雅のクロスに合わせたFWルキアンが1点差に詰め寄るゴールを挙げたが、ホームチームの反撃もここまでだった。


湘南の敗因と、今後に向けた改善点は何か。ここではこの2点を中心に論評していく。




湘南ベルマーレvsヴィッセル神戸、先発メンバー

改善が見られたハイプレス


この試合における両クラブの基本布陣は、湘南が[3-1-4-2]で神戸が[4-1-2-3]。3月12日にAFCチャンピオンズリーグエリート・ラウンド16第2戦(光州戦)を消化した神戸の吉田孝行監督は、長身FW大迫勇也のベンチスタートを決断。ゆえに神戸はサイドへのロングパスと、GKや最終ラインからのパス回しを使い分けていた。


神戸の最終ラインからのパス回しに湘南は緻密な守備で対抗できており、神戸の2センターバック(山川哲史とマテウス・トゥーレルの両DF)がボールを受けるやいなや、湘南のルキアンと鈴木章斗の両FWのいずれかが寄せる。これにより神戸のパス回しを片方のサイドへ追い込んだ。


湘南のハイプレス(1)

神戸の左サイドバック、MF鍬先祐弥が自陣タッチライン際でボールを受けたときにはここへ湘南MF小野瀬康介が寄せ、味方最終ライン付近へ降りてくる神戸FW宮代大聖(インサイドハーフ)には、湘南MF奥野耕平もしくはMF鈴木雄斗(センターバック)が付く。右サイドにおける鈴木雄斗とMF藤井智也(ウイングバック)のマークの受け渡しも円滑だった。


湘南のハイプレス(2)

神戸の右サイドバック、DF広瀬陸斗のところへパス回しを追い込んだ場合はここへ湘南のウイングバック畑が主に寄せており、ホームチームのMF平岡大陽が神戸MF井手口陽介を捕捉。神戸のウイングFW武藤嘉紀には湘南DF鈴木淳之介がマークに付いていた。


神戸の中盤の底、MF扇原貴宏を湘南2トップのいずれかが捕捉する原則も浸透しており、今季序盤5試合でマークの抜け漏れが散見された湘南のハイプレス(最前線からの守備)は改善傾向に。マンマークの分担がこの通りにならない場面もあったが、湘南の選手たちは臨機応変に対応できている。昨年のJ1リーグ覇者、神戸を相手にハイプレスが通用した点は収穫と言えるだろう。


エリキ 写真:Getty Images

勿体なかった2失点目


湘南のセットプレー以外の守備は概ね破綻が無かっただけに、前半37分の2失点目は勿体なかった。


ここでは湘南ウイングバック畑からルキアンへのパスを神戸陣営に奪われ、アウェイチームの速攻を浴びている。エリキへのラストパスを繰り出した宮代に対する、湘南MF奥野の帰陣や寄せも遅れたため、失点を喫してしまった。


センターサークル付近でボールを失った際の守備の整備や、素早い攻守の切り替えの徹底。今後はこの2点を改善する必要があるだろう。




畑大雅 写真:Getty Images

気になるウイングバックの立ち位置


前半の途中から、湘南の両ウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受ける場面がちらほら。ウイングバックがこの場所でボールを受けた場合、タッチラインがある方向にはパスを出せない。そのうえ湘南ウイングバックに相手のサイドハーフやウイングバックが寄せてくるので、ボールを失う確率が上がる。この悪癖により湘南は2023シーズンと昨シーズン序盤に成績不振に陥っており、この現象が今回の神戸戦で散見されたのは気がかりだ。


攻撃時にウイングバックをここへ降ろしたいのであれば、相手チームが3バックの場合にこれをするのが望ましい。サイドハーフやウイングFWがいる4バックのチームと比べ、相手が3バックであれば湘南ウイングバックに相手ウイングバックが寄せるまでに時間がかかるため、自陣後方タッチライン際でボールを受ける危険性がやや低くなるだろう。


もしくは、ウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受けた場合、間髪を入れず味方2トップへ縦パスを送ることをパターン化する戦い方もある。2トップがボールを失わないことが前提となるが、彼らを湘南の2インサイドハーフが素早くサポートすることを徹底させれば、パスワークは成立する。難易度が高い攻撃だが、シモーネ・インザーギ監督擁するインテルもこの戦い方を採り入れている。試す価値はあるかもしれない。


ただ、俊足で突破力が高い藤井と畑を自陣後方に立たせパスを回す攻撃は、彼らの持ち味を活かしたものとは言い難い。神戸戦に生まれた湘南のゴールも、もとを辿ればセンターバック鈴木雄斗が自陣へ降りてきた藤井にボールを渡さず、最前線の鈴木章斗へロングパスを送ったことから生まれている。湘南を率いる山口智監督が、現状をどのように捉え自軍の攻撃を設計するのか。これが湘南の今後の戦況を左右しそうだ。

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