決勝でも9位入賞。幻となった大チャンスには「悔しいが仕方ない」と小椋藍/第3戦アメリカズGP
2025年3月31日(月)12時12分 AUTOSPORT web

3月30日、2025年MotoGP第3戦アメリカズGP MotoGPクラスの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)は9位でフィニッシュした。
土曜日の予選では、Q1突破ならず18番手からのスタートとなったものの、スプリントでは、驚異的な追い上げで9人抜きで9位フィニッシュし、貴重な1ポイントを獲得した。
期待が高まるなか迎えた決勝日。午前中のウォームアップ走行の時点では、夜に降った雨の影響でわずかながらウエットパッチが残っていた。このセッションでは、全ライダーが前後ともミディアムタイヤを選択し、湿った路面を確かめるように周回を重ね、小椋は19番手となった。
Moto2クラスの決勝レース直前から弱い雨が断続的に降り、MotoGPクラスのサイティングラップの前にウエットレースの宣言がなされた。
ほとんどのライダーがウエットタイヤを選ぶなか、小椋はスリックタイヤを選択。スリックを選択したライダーは小椋を含め3人のみと、2024年第17戦日本GPでのMoto2クラスの決勝レースを思い出させるような大きな賭けに出る。
ウォームアップラップ直前、路面が乾いていくことを察した複数のライダーがピットへ走り、スリックタイヤのマシンに乗り換えてピットレーン出口に並んだ。すでにスリックタイヤを履いている小椋にとって、絶好の機会が舞い込んだ。
しかし、スタート進行に混乱が生じた影響で赤旗となったため、このビッグチャンスは幻に。また、決勝レースは20周から19周に減算された。
小椋はタイヤをミディアム/ソフトに変更して、再びグリッドに着く。スタートではひとつ下げて一時19番手に下げた小椋だったが、3周目までに16番手にポジションを上げた。レース中盤には、トップを走っていたマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)をはじめ、上位ライダーの転倒が相次いだため、9周目には14番手に上がり、入賞圏内でレースを折り返した。
その後、小椋は11周目にファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)をオーバーテイクして12番手に。13周目には6番手走行中のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がリタイアしたため、11番手に浮上した。
ともに後方から追い上げてきたエネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)は小椋よりも速く、15周目にペースが落ちてきたルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)をオーバーテイクした。小椋の目標は、約1.5秒先のマリーニとなった。
レース終盤にもリタイアや転倒が発生し、残り2周の時点で小椋は9番手にまでポジションを上げた。しかし、転倒に伴うイエローフラッグの影響もあり、マリーニとの差を思うように縮めることができず、小椋は9位でチェッカーを受けた。
前述した昨シーズンの日本GPで小椋は、ハーフウエットのようなコンディションが得意ではないと語っていた。しかしながら、最高峰クラスの舞台でそんなことを感じさせない走りで、チームのホームグランプリにふさわしい活躍を見せ、チームランキングも7位から5位となった。小椋自身もふたつ上げてランキング6位につけている。
また、この週末で計8ポイントを獲得した小椋は、奇しくも失格となった前戦アルゼンチンGPの決勝レースで得られたはずだった同数ポイントを取り戻すかたちとなった。
2週間後に控えるナイトレースのカタールGPでは、負傷により欠場が続いているホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)が復帰する可能性もある。復帰直後とはいえ、2024年チャンピオンが同じマシンでどんな走りを見せてくれるのか、小椋はマルティンを上回るパフォーマンスを発揮するのか。今後もさらに楽しみが増えるシーズンとなりそうだ。
トラックハウス・MotoGPチーム 小椋藍(決勝:9位)
「全体的に見て、厳しい週末だったと思いますが、スプリント・決勝レースともに9位という良い結果を残せました。昨日のスプリントでは、自分でポジションを上げていけましたが、今日は前方で多くのクラッシュがあり、自分で追い上げることはあまりできませんでした。それでもトップ10に入れたので、僕とチームとって満足できる週末になりました」
「スタート前にスリックタイヤを選んだことはビッグチャンスでした。しかし、不運にも(赤旗によって)スタートが遅れました。正しいタイヤチョイスでしたし、うまくいかなかったので本当に残念に思っています。悔しいですが仕方がありませんし、トップ10フィニッシュ自体はまだ素晴らしいことなので、この結果を受け入れます」