Q2敗退の角田裕毅に生じた「不公平」の背景 レッドブルがフェルスタッペンを優先するしかなかった“事情”とは?
2025年5月25日(日)12時16分 ココカラネクスト

エース優遇の中で、厳しいレースを求められた角田。(C)Getty Images
苛立ちを隠せないほどの悔しいQ2敗退となった。
現地時間5月24日、F1の今季第8戦となるモナコGPの公式予選がモンテカルロ市街地コースで行われ、レッドブルの角田裕毅は2回目(Q2)で敗退。25日の決勝はコース幅が狭く、追い越し困難となるモナコでは厳しい12番グリッドでのスタートが決まった。
【動画】フェルスタッペンに迫った好レース 角田裕毅の快進撃を見る
レース後にF1公式サイトのフラッシュインタビューに応じた角田は「最後のアタックだけでなく、Q2全体を通して何かがおかしかった」と漏らした。さらに「何が起きたのかはわかっているが、ここで言わなくてもいい」と続けた25歳がフラストレーションを爆発させた理由は、マシンのセットアップにあった。
オランダのモータースポーツ専門メディア『RacingNews365』によれば、レッドブルの重鎮で、モータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ氏は、レース後に「エミリア・ロマーニャGPにおけるユウキのクラッシュによって、アップデートさせた2台のマシンのパーツ構造が台無しになった」と言及。その上で「マックス(・フェルスタッペン)が優先されたなかで、ユウキのマシンは以前のセットアップに戻さざるを得なかった。この短い期間では、両方のマシンに十分な部品の生産を確保することはできない」と明かした。
今季第7戦のエミリア・ロマーニャGPにおいて、角田は公式予選1回目(Q1)の開始早々に大クラッシュ。大破させてしまったマシンの復旧作業の一部には旧式の部品が代用され、フロアの主要部分でスペックの不一致が生じていたとされている。
そうした厳しい“台所事情”を抱えた中で迎えたモナコGPだった。当然ながら、連戦であったために、両ドライバーに向けた新たな部品の開発は追いつかず。操舵困難とされる「RB21」のアップデートもエースドライバーであるフェルスタッペンが優先され、角田は厳しい環境での戦いを強いられていた。
エースを勝たせるのは、フェルスタッペンを何よりも重宝してきたレッドブルのチーム戦略上において必然の展開。それゆえにQ2終了直後の無線で「正直に言えば、とても不公平だ。こうなることはわかっていたけどね」と憤った角田の“悪態”は、あらぬ問題を引き起こしてしまう可能性もゼロではない。
果たして、角田は注目される決勝で爪痕を残せるか。「チャンスは多くないと思っている」と覚悟を固める男の走りに注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
関連記事(外部サイト)
- 「お願いだ。マックスを先に行かせてくれ」——“エース優遇”に苛立ちか Q2敗退の角田裕毅の憤りを生んだ「無線」とは?
- 角田裕毅こそフェルスタッペンの“最適解”? レッドブル幹部が絶賛した日本人の胆力「本当に素晴らしい。あれには感心した」
- 往年のF1王者が角田裕毅に辛辣意見 名門を悩ます“シート問題”も糾弾「ローソンが力不足だったから仕方なくそうした」
- 「マシンのレベルに達していない」元F1王者が角田裕毅を辛口評価 電撃昇格から4戦で苦言「ローソンよりうまくやっているが…」
- 「次はクラッシュなしで頼むよ!」マルコ博士の笑顔では隠し切れないレッドブルの“本質” 角田裕毅の現状に英メディアがシビアな指摘「ローソンへの扱いを見れば明らか」