オリオールズ・菅野 ハイクオリティー2勝 本拠地初勝利で沸かせた 初の中4日で圧投
2025年4月19日(土)1時30分 スポーツニッポン
◇ア・リーグ オリオールズ6—2ガーディアンズ(2025年4月17日 ボルティモア)
オリオールズの菅野智之投手(35)が17日(日本時間18日)、ガーディアンズ戦に先発し、自己最長の7回を投げ、5安打2失点で本拠地初勝利となる2勝目を挙げた。初の中4日での登板でもストライク先行で87球にまとめ、今季チームで初めてハイクオリティースタート(7回以上、自責点2以下)を達成。投球術で強打者を牛耳るオールドルーキーが、チームを今季18試合目で初の2連勝に導いた。
寒さが残るボルティモアのファンが、熱いスタンディングオベーションを送った。7回を投げ終えマウンドを降りる菅野を包み込んだ大歓声。感謝と敬意の表れだったが「えっ?本当ですか?僕はもう1イニングいくつもりだったので、全然見てなかった」。それだけ、試合に入り込んでいた。
開幕投手のエフリンが故障離脱する中、「そういうときに頼ってもらえるのは本当にうれしい。選手冥利(みょうり)に尽きる」と、初の中4日での先発。最も警戒した打者が昨季、540打席に立ちア・リーグ最少の51三振、空振り率もリーグ最少8・2%だったクワンだった。今季もここまで9三振、空振り率7・6%とメジャー屈指の「三振しない男」。日系の母を持ち、23年のWBCではヌートバーとともに侍ジャパンの候補に名前が挙がった選手だ。
初回は2球連続スプリットで空振りさせて三振。5回の第3打席では2ボールから再びスプリットで右飛に仕留め3打数無安打に封じた。「全部、積み重なっていろいろな結果がある」。87球中、カーブとスプリットの2球種で47%となる41球。「プラン通り」に的を絞らせなかった。
直球の最速は93・2マイル(約150キロ)ながら、7回には一発を含む2安打を許していたシュニーマンから高め直球で空振り三振を奪い、ブランドン・ハイド監督は「ファンタスティックだった」と手放しで称えた。昨季39本塁打のラミレスも無安打に抑えるなど1〜6番を内野安打1本に封じた。
3回に2本のソロ本塁打を許しても、ゾーン内での勝負を貫いた。ストライク率は63・2%。無四球で7回を投げ切り、今季チームでは初のハイクオリティースタートを達成した。それでも、「ま、65点ぐらいじゃないですかね。まだまだこれから」。登板前には12時間睡眠で体調を整えるなど、米国でも自然体で過ごしている。
「本当にいいときの感覚に比べると、もうちょっと上げていきたい」。まだ100点には遠くても、これほどの投球ができる。オールドルーキーへの期待は膨らむばかりだ。(杉浦大介通信員)
▽クオリティースタート(QS) 先発投手を評価する基準の一つ。勝敗にかかわらず、6回以上を投げ自責点3以下に抑えれば、試合をつくり先発の役割を果たしたとされる。また先発して7回以上を投げ、自責点2以下は「ハイクオリティースタート(HQS)」として高く評価される。
≪デビューから先発5試合以内に「7回以上&無四球」≫菅野が4試合目の登板で7回2失点、無四球で2勝目。デビューから先発5試合以内に「7回以上&無四球」投球の日本投手は、ドジャース・黒田博樹とヤンキース・田中将大(現巨人)以来3人目。黒田は初登板の08年4月4日パドレス戦で7回3安打1失点で初勝利。田中将も初登板初勝利だった14年4月4日ブルージェイズ戦での7回6安打3失点と、4試合目で3勝目を挙げた同22日レッドソックス戦の7回1/3、7安打2失点の2度マークした。