ヤクルト・伊藤 プロ初打点がサヨナラ打 2軍戦フル出場→神宮で歓喜「内容の濃い、今までにない一日」
2025年4月21日(月)5時30分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ ヤクルト3—2巨人(2025年4月20日 神宮)
打球が左翼フェンスを直撃し、一塁を回っていたヤクルト・伊藤は両手を突き上げた。延長10回2死二、三塁。今季2度目のサヨナラ勝ちをもたらした22歳は、水を浴びせられてびしょ濡れだ。
「抜けろ、越えてくれと。自分が決める気持ちだった。人生で一番、最高の瞬間」。山田の代走で6回から出場し、8回2死で「神宮で打ちたかった」というプロ初安打を右前に運んだ。遊撃の守備には定評があり、課題の打撃で快音。記念のボールをゲットした次の打席で左越えの劇的なサヨナラ打と、プロ初の歓喜を次々に味わった。プロ初打点がサヨナラ打は、球団では13年4月の三輪正義以来、12年ぶりだ。
23年2月、単位が足りずに東農大を中退。一時は野球を離れ、地元・群馬の居酒屋でアルバイトしていた。見かねた兄・麗夜さんに草野球に誘われ、楽しさを再確認。同年5月にBC・新潟にテスト入団し、秋のドラフトで5位指名された。
この日は朝7時30分に起床し、イースタン・ロッテ戦(ロッテ浦和)にフル出場してから神宮へ。自身が決めた試合終了は午後9時54分で「内容の濃い、今までにない一日だった」。チームは村上、丸山和、塩見ら野手が故障で離脱中。「自分が代わりになれるか分からないけど…。何とかチームに貢献したい」。直近の連敗も、対巨人の開幕連敗も「5」で止めたヒーローは、長く濃い一日を最高の笑顔で締めた。(鈴木 勝巳)
◇伊藤 琉偉(いとう・りゅうい)2002年(平14)9月11日生まれ、群馬県出身の22歳。東農大二では甲子園出場なし。東農大を中退して独立リーグのBC・新潟でプレー。遊撃での高い守備力も評価され、23年ドラフト5位でヤクルトに入団した。1メートル80、78キロ。右投げ右打ち。