阪神・大山 延長10回に主砲が決めた!プロ9年目で“最遅”の決勝1号で今季2度目3連勝
2025年4月24日(木)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神3—2DeNA(2025年4月23日 横浜)
阪神・大山悠輔内野手(30)が23日、DeNA戦の延長10回1死から左翼席へ決勝1号本塁打を叩き込んだ。開幕から出場20試合目、85打席目での一発は、プロ9年目で“最遅”となった。試合前時点で打率・208と沈黙していた新5番の目覚めのアーチで今季最多の貯金3とし、4日の巨人戦からビジターゲームは7連勝。首位・広島との1ゲーム差を死守する今季2度目の3連勝をマークした。
後輩たちへ主役を譲ってきた大山が、やっとヒーローになった。開幕から19試合を終え、残った数字は打率・208、7打点、そして本塁打はゼロ——。持ち前の長打力と確実性は影を潜め、凡打を重ねる日々が続いていた。15日のヤクルト戦から前日のDeNA戦まで、計23打数3安打。下を向くことなく走り続けてきた男に、野球の神様が、ようやくほほ笑んだ。
「今まで助けられてきているので、何とか今度は助けられるようになりたいと思っていた。そういう意味では、凄く良かった」
殊勲のシーンは2—2の延長10回1死に待っていた。マウンドには山崎。過去17打席で一本の安打も放っていない天敵だ。初球からストレートが3球続き、2球スプリットを挟んだフルカウントからの6球目。外角低めの直球を砕くと、失速とは無縁の弾丸が左翼席まで一直線に伸びた。着弾点はスタンド最前列。昨年より1試合遅い、開幕20試合、通算85打席目の自己最遅アーチ。勝利への意地と執念がこもった鋭い放物線に、青とピンクに染まるスタジアムは黄色い声援であふれた。
「狙い球というか、(スコアラーとの)話し合いもできていたし、塁に出ることが最優先ですけど、その中でも自分のスイングができたのが良かった」
自分のスイング——。不振に直面し、大山は原点へ戻った。満塁の絶好機で凡退した19日広島戦、4打数無安打の翌20日同戦の試合後、一人ミラールームに残って黙々と素振りを繰り返した。両日とも約1時間にわたり、自問自答しながらバットを振り続けた。5番の苦境をナインの誰もが知るからこそ、生還後の三塁ベンチは上を下への大騒ぎ。手荒い祝福に満面の笑みで身を委ね、同い年の近本には頭をなでられた。大山が誰よりも待ちわびた至福の時だった。
「チームが勝ったことが一番。投手、野手、チーム一丸となって戦っているので、そういう(接戦の)試合を取れたことが大きい」
貯金は今季最多の3となり、ビジターでは破竹の7連勝だ。目下リーグトップ7本塁打の佐藤輝、打率・301の森下に続き、大山も目覚めた。連勝街道を突っ走る猛虎に、加速を呼ぶ最後のピースが加わった。(八木 勇磨)