世界王者・中谷潤人のコラムがスタート プロ入り前に2度の敗戦…16歳で決意「プロになったら、全部勝とうと決めました」

2025年4月25日(金)5時0分 スポーツ報知

デビュー10周年を迎える中谷。自身が定めた目標に向かって闘志を燃やす(カメラ・竜田 卓)

 プロボクシングWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(27)=M・T=が26日にデビュー10周年を迎える。スーパーバンタム級世界4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=から来春の東京ドーム決戦を呼びかけられた実力者で、新たにつけられた異名は宇宙の起源となる大爆発「ビッグバン」。スポーツ報知では中谷の独占コラム「BIG BANG!」をスタートし、随時掲載する。初回はボクシングにかける思いや夢対決への決意をつづった。

 こんにちは、中谷潤人です。スポーツ報知さんにコラムを寄稿することになりました。僕が感じてきたことや大切にしていることなどを発信させてもらえたらと思っています。

 2月24日にダビド・クエジャル選手(メキシコ)に3回KO勝ちして30連勝することができましたが、4月26日にはプロデビュー(※1)して10年となります。一戦一戦、大事に戦ってきました。初の統一戦(※2)も決まり、さらに勝利を重ねていきます!

 中学の入学式前だった2010年4月1日からボクシングを始めました。中2からU15(15歳以下の全国大会)で連覇しましたが、実はプロ入り前に2度、負けています。最初は中3春の大会で、もう一つは16歳だった14年9月に米国で、プロになる前の一番最後の試合でした。同じルディ(※3)のジムメートで、全米ランキング2位の選手に判定負け。すごく悔しかったです。勝敗はもちろんですが、やりたいことが出せず、自分の力を発揮できなかったところに悔しさがありました。だから、プロになったら、そういうことがないように全部勝とうと決めました。目標をしっかり持って、「これからはもう、負けない」っていう気持ちになった試合でした。

 プロでのデビュー戦は岐阜。地元(三重・東員町)が近かったので、たくさんの人が応援に来てくれました。初回TKO勝ちで、家族やみんなが喜んでくれる顔を見ることができて、僕もすごくうれしかったです。勝つこと以外は考えず、とにかく倒すという気持ちを前面に出した戦い方で、いかにもデビュー戦らしいというか…。今、思うと恥ずかしい感じはありますね。

 試合後は食事に向かったんですが、会場を出た僕は、猛ダッシュ。なんか元気が余りすぎちゃって。「試合が終わったばかりなのに、走っているよ」とか言われて…。でも、走っていて、すごく気持ちよかった。今はさすがに走れませんが…。

 僕の目標の一つはパウンド・フォー・パウンド(PFP=※4)で1位になること。その過程において、井上尚弥戦が実現すれば大事な一戦となります。より自分と対話して向き合っていかないといけない相手だと思いますし、これからの時間はさらに大切になってきます。

 尚弥選手の強さは、相手の力量をしっかり把握する能力が高いこと。自分の頭の中では何度かイメージして戦っていますが、疲れますね。もちろん、自分が倒して勝つのがフィニッシュとなっていますが、ラウンドが早いか、遅いかは意識していません。ただ、どこに活路を見いだしていくか。一つだけでは絶対勝ちにはいけない選手。だからいろいろな“引き出し”をつくって、それを引き出せる体とメンタルを整えなくてはならない。引き出しのクオリティーを上げて、それがハマったとしても、そこでしっかり詰め切れるようにしておかないといけないんです。

 僕は今、ロサンゼルス(米国)で、6月の西田戦に向けて練習を重ねています。来たるべきビッグマッチに向けても、勝たないといけない試合。応援、よろしくお願いします。感謝! 感謝!(WBC世界バンタム級王者)

 【※1=プロデビュー戦】17歳の2015年4月26日、岐阜市の岐阜商工会議所で、糸賀純一(広島三栄)と初陣同士の対戦となった。初回、右フックで倒すなどして開始わずか1分33秒、TKO勝ちした。

 【※2=統一戦】中谷は6月8日、東京・有明コロシアムでIBF王者・西田凌佑(六島)との統一戦に臨む。

 【※3=ルディ・エルナンデス氏】米国人トレーナー、カットマンで実弟ヘナロ(故人)は元WBA&WBC世界スーパーフェザー級王者。トレーナーとして畑山隆則、伊藤雅雪、A・オラスクアガ(米国)ら多くの世界王者に貢献した。米ロサンゼルスで運営するジムでは、単身で米国に渡った中谷を15歳から指導し、世界王者に育てた。

 【※4=PFP】全階級を通しての最強ランキング。プロボクシングは体重別による階級制が採用されているが、全選手が同じ体重と仮定して、その強さを順位付けしたもの。米国で最も権威のある専門誌「THE RING」制定のランキングが最も重要視されている。

 ◆中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重・東員町生まれ。27歳。中1からボクシングを始め、中学卒業後、米国で単身武者修行。2015年4月にプロデビュー。16年度全日本フライ級新人王。19年2月に日本同級王者、20年11月にWBO世界同級、23年5月にWBO世界スーパーフライ級、24年2月にWBC世界バンタム級王座獲得で3階級制覇を達成。身長173センチの左ボクサーファイター。戦績は30戦全勝(23KO)。家族は両親と弟。

◆ロス3日目「充実」

 〇…中谷は20日にロサンゼルス入りすると、休む間もなく、21日からスパーリングを実施した。23日(日本時間24日)も実戦練習を重ね、「(渡米後に練習を開始してから)まだ3日目ですが、精神面・練習内容ともに充実した時間を過ごせております。しっかり最後までやり切ります」と、約1か月の予定で行うキャンプへ意欲を示した。

スポーツ報知

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