【番記者の視点】4連勝の浦和 先行逃げ切りの“必勝パターン”は「一歩をサボらない」守備意識から
2025年4月26日(土)6時0分 スポーツ報知
後半12分、ゴールを決める浦和・金子拓郎(カメラ・宮崎 亮太)
◆明治安田 J1リーグ▽第12節 浦和1—0広島(25日・埼玉)
【浦和担当・金川誉】浦和が、先行逃げ切りの“必勝パターン”を築きつつある。広島に1—0で勝利し、23年以来約2年ぶりの4連勝で暫定3位に浮上。0—0で迎えた後半12分、MFマテウスサビオが自陣ゴールラインから約70メートルをドリブルで運んでラストパスを送り、今季ベルギー1部コルトレイクから加入したMF金子拓郎が移籍後初ゴール。この1点を守り切った。
4連勝中はすべて先制。うち3試合は、追いつかれることなく逃げ切った。まず先に点を与えない。この日は前半、広島に流れを奪われる時間帯もあった。それでも右サイドバック(SB)として勝利に貢献したDF石原広教が「今は守備からリズムをつくって、という感じなので。必ず自分たちに流れがくるとわかっていたので、我慢してやれたかな、と思います」と語ったように、安定した守備で流れを引き戻した。
4連勝はFWチアゴサンタナに代わり1トップに松尾が入り、トップ下の渡辺とのコンビが形成された町田戦(4月13日)から始まった。ふたりが果たす役割は、攻撃だけでなく守備面でも大きい。石原は「前の2人(松尾、渡辺)のプレスのかけ方がはっきりしているので、後ろも反応しやすい。間を閉めて、外に(パスを)出させて、ウイングが出て、という整理がかなりはっきりされている。その制限の仕方が、かなりチームとして整理されてきています」と手応えを明かした。
この日は松尾、渡辺がパスコースを限定すると、右サイドではウィングの金子が広島の3バック左にプレッシャーをかけた。右SBの石原は「ウィングが出たら、SBもついて行く」というチームの約束事を忠実にこなし、広島の左ウィングバックまでスライド。高い位置でプレッシャーをかける回数が増え、自陣に押し込まれる回数は減少した。
さらに好調のベースとなっているのが、スコルジャ監督が「攻から守の切り替えも非常によくなっています」とたたえた点だ。後半27分、浦和のCKから広島にカウンターを受けた場面は象徴的だった。ボールを運ぶ広島FWジャーメインに、MF安居が鋭い反応とスプリントで食い下がり、パスの乱れを誘った。時間にして1秒ほどをかせぐと、MF渡辺が自陣深くまで戻ってカウンターを阻止した。また指揮官が「特に(切り替えでは)ウィングの拓郎とサビオが(切り替えの面で)すばらしい仕事を見せてくれています」と続けたように、前線のアタッカーたちも勤勉に仕事を全うしている。
石原は言う。「チーム全員が1歩をサボらない、というか。(広島に)セカンドボールを拾われる時間は多かったですけど、その後のリアクションや、戻るところを戻る、誰かが出たところは誰かが埋めるとかは、みんな集中してやれている。そこが崩れない要因かな」。守備ではチームの約束事が浸透し、攻撃ではサビオらタレントたちが力を発揮し始めた浦和。開幕直後の出遅れを取り戻し、いよいよ本格的に上位争いに食い込んできた。