おなじみ“忍者ポーズ”で喜び爆発 町野修斗、5大リーグでは中田英寿以来26年ぶり快挙 ドイツ1季目で日本人初シーズン10得点
2025年4月28日(月)5時15分 スポーツ報知
町野修斗
◆ブンデスリーガ ▽第31節 キール4—3ボルシアMG(26日・キール)
サッカーのドイツ1部で26日、キールの日本代表FW町野修斗(25)が、ホームのボルシアMG戦にフル出場して2得点し、今季リーグ戦10ゴールとした。前半15分に先制すると、3—3の後半追加タイムに決勝点を挙げ4—3の勝利に導いた。5大リーグでの2桁得点は日本人6人目で、1季目での2桁到達は、1998—99年イタリア1部ペルージャのMF中田英寿(10得点)以来、26年ぶりの快挙となった。
点を取るための技術が、凝縮されたゴールだった。3—3で迎えた後半アディショナルタイム。町野は高く浮いた相手クリアボールに反応すると、落下地点を見定めてわずかにバックステップ。そしてバウンドしたボールがはねる瞬間を左足ハーフボレーで的確にとらえてネットを揺らした。数分前のプレーで脚をつっていたが、高難度のシュートでチームを救い「最後は集中した。大仕事ができた」と振り返った。
前半15分、CKを頭で合わせた先制ゴールも含め2得点。残留争いの正念場に立つチームを勝利に導き「この瞬間のためにやっている。最高」。おなじみの“忍者ポーズ”で喜びを表現した。
ドイツ1部デビューシーズンでの2桁ゴールは、ドルトムント時代の香川真司がマークした8点を抜いて日本人最多。5大リーグ挑戦1年目での10得点は、中田英寿以来だ。ドイツ2部での経験があるとはいえ、その適応力は特筆に値する。
22年のカタールW杯では、直前の東アジアE—1選手権での活躍が認められてメンバー入りを果たしたが、出場はなし。さらなる成長を求め、湘南から当時ドイツ2部のキールに移籍して昇格に貢献すると、今季は1部で苦戦するチームの中で活躍を続ける。2部時代は代表からも遠ざかったが、今年3月のアジア最終予選では2年ぶりに日本代表への復帰も果たした。
日本代表では1トップのポジションを上田綺世(オランダ1部フェイエノールト)や小川航基(同NEC)らと争うが、オランダ1部で今季6点の上田、7点の小川よりクラブで残してきた結果は上回る。今は17位と降格圏に沈むキールを残留に導くために、残り3試合に集中する町野。「まだまだ取れる」と自信を口にしたストライカーが、ドイツの地で存在感を放っている。
◆ドイツ1部での日本人選手のシーズン10得点以上 最多は岡崎慎司がマインツで13—14季に記録した15得点。シュツットガルトから移籍した初年度、ドイツでの通算4季目での達成だった。岡崎は翌年にも12得点を決めて2年連続で2ケタ得点を記録。2位は香川真司がドルトムント2季目の11—12季に記録した13ゴール。4位は高原直泰が4季プレーしたハンブルガーSVから、フランクフルトに移籍した初年度の06—07季に記録した11得点。町野はドイツ1部初年度で2ケタに到達した初の日本人選手。
◆町野 修斗(まちの・しゅうと)1999年9月30日生まれ。忍者の里として知られる三重県伊賀市出身。25歳。大阪・履正社高から18年に横浜Mへ。J2北九州を経て21年に湘南へ。22年に日本人最多の13ゴール。同年に日本代表デビューし、カタールW杯にも出場。23年6月に当時ドイツ2部のキールへ完全移籍。185センチ、77キロ。右利き。