「もうずっと泣きそうだった」西武・高橋光成597日ぶりの白星「お待たせしました。なんか初勝利みたい」

2025年4月30日(水)6時0分 スポーツ報知

試合後、笑顔で喜ぶ597日ぶりの白星を飾った高橋光成(カメラ・清水 武)

◆パ・リーグ 西武7—1楽天(29日・ベルーナドーム)

 西武・高橋光成投手(28)が23年9月10日の日本ハム戦(エスコン)以来、597日(21試合)ぶりの白星をつかんだ。楽天戦(ベルーナD)で6回4安打無失点の好投。今季5戦目の登板で初勝利を挙げ、昨年から続いた悪夢の連敗を13で止めた。チームも3連勝で勝率5割に復帰し、4位に浮上。背番号13は「久々すぎてわけわかんない」と忘れかけていた勝利の味に浸った。

 こぼれそうになる熱いものを必死にこらえ、高橋は満面の笑みを浮かべた。懐かしい、お立ち台からの景色だ。「お待たせしました。なんか初勝利みたい。久々すぎてわけわかんない感情です」。ゴールデンウィーク初日のチケットは完売御礼。本拠の大観衆の前で、597日ぶりの白星を手にした。「もうずっと泣きそうだった。いつ泣いてもおかしくなかった」。記念球を元山から受け取ると、右手で天高く掲げ、選手、スタッフ一人一人と熱い抱擁を交わした。

 粘りに粘った。初回は連続四球でスタートも無失点で切り抜けた。2回1死三塁では堀内をスライダーで三振。スタートを切っていた三塁走者も併殺とすると、3回以降は二塁を踏ませなかった。

 昨季は体重を最高112キロまで増やした影響もあって不振に陥り、屈辱の0勝11敗。「しんどかった。何をやってもかみ合わなかった」。今季は開幕前に体重を10キロ落とし、フォームを改善。白星をつかむため必死にもがいた。

 背番号「13」の大先輩の教えを生かした。3月15日のオープン戦・中日戦(バンテリンD)の試合前練習。西口監督に、現役時代の代名詞スライダーについて教えを請うた。「(自身のスライダーが)曲がらなくなって振ってもらえない感じがしていた。改めてプレスの強さとかどこに加重してるかを聞いたら、これかもしれないというのがあった」。磨き直した宝刀は2回のピンチで光った。

 指揮官は試合後、「背番号13なんでね、連敗も13で止まったな」と声をかけた。「ほとんど名字呼び」という指揮官が名前で呼ぶ数少ない一人。24年10月の1軍監督就任会見で唯一、個人名を挙げて奮起を促した選手でもある。「この経験っていうのは今後の野球人生だけじゃなくて自分の人生にも生きてくる」と苦闘の日々をかみしめた高橋。「みんなで優勝しましょう」と叫んだエースが、復活への大きな一歩を踏み出した。(大中 彩未)

恩師が祝福「苦しみを糧にして」

◆高橋の高校時代の恩師 前橋育英・荒井直樹監督(60)

 —高橋投手が597日ぶりの勝利です。

 「ネットの速報で知りました。よかったですね。勝てなかった間も防御率は悪くなかったと思いますが、苦しかったことでしょう」

 —高校時代に勝てなくて苦しんだことは。

 「2年の夏(2013年)、甲子園で優勝しましたが、新チームになってから群馬県の公式戦では1勝しかできませんでした。一躍、注目されたことで、あの1年間は相当苦しかったと思います」

 —エースとしての重責もあった。

 「何をやっても注目されて、3年の夏の大会前は顔つきが変わるくらい、プレッシャーを感じていたようでした。そういったことを乗り越えた経験が、プロでも生きていると思います」

 —これからもさらに期待したい。

 「これまでの苦しみを糧にしてほしい。チームを勝たせるのがエース。そういう投球をしてもらいたいですね」

スポーツ報知

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