戦国模様のスーパーGT500クラス。伝統の富士500km本命は大躍進ホンダか、富士得意のレクサス、ニッサンか

2018年5月2日(水)20時3分 AUTOSPORT web

 昨年の実績を考えれば、今年の富士もレクサス陣営+ブリヂストンユーザーが本命と予想される今シーズンのスーパーGT第2戦富士500km。しかし、開幕戦で大躍進を見せたホンダNSXの強さ、そして起死回生を狙うニッサンLC500と、今シーズンのGT500は例年以上に予想が難しい、3メーカーの拮抗状態となっている。500kmという長丁場を制するのは、果たしてどのメーカー/チームになるのか。


 第1戦岡山ではホンダNSXがエンジンのパワーアップに伴う速さを見せ、前評判を覆す強さでワンツーフィニッシュ。KEIHIN NSX-GTが見事開幕戦を制した。一方、事前に本命視されていたレクサスLC500+ブリヂストン勢は、レース終盤にチャンピオンのKeePer TOM’S LC500、そしてWAKO’S 4CR LC500が追い上げを見せるも、3位、4位止まり。タイヤチョイスで温度レンジを外してしまったという明らかな原因があるものの、今年のブリヂストンとレクサスの相性がいまひとつという声も大きく聞こえており、今シーズンのその後が不安視された。


 ニッサンGT-Rは決勝で追い上げを見せて3台が入賞したが、ドライバー、エンジニアと体制が大幅に変わって復活が期待されたカルソニックIMPUL GT-Rが14位と低迷。ニッサン陣営としては、見どころを作れず、悔しい開幕戦となってしまった。


 しかし、この富士500kmは近年は2014年から2016年まで3年連続でニッサンGT-Rが制しており、得意とする今回の富士はGT-Rの今季のパフォーマンスを測るターゲットラウンドとも言える重要な一戦。事前テストでもカルソニックが最終日にトップタイムをマークしており、チームのエース、佐々木大樹も前回の岡山での悔しさを胸に、今回の富士への思いは強い。


「前回はやはり気温が思った以上に低くて、それが自分たちに味方すると思っていたんですけど、思うようにタイヤを使いこなせることができなくて、そこからリズムとクルマの方向性を崩してしまいました。予選結果が良くなかった(予選11番手)ので、岡山で予選順位が後方だと厳しいものがありました」と、開幕戦を振り返る佐々木。


「今回、事前テストで調子が良かったセットアップに戻していることもありますし、タイヤ選択も気温が想定どおりになりそうなので、しっかりレースをすればチャンスはあると思っています。チームとしてもインパルはこの富士、そして500kmレースが強いですし、GT-Rとしても富士はシリーズ中のコースとして強い方だと思います。ニッサンの中で一番になれば優勝に近いと思っていますので、なんとか上手くレースをしたいです」と、第2戦への意欲を語る。


 カルソニックと同じく、開幕戦の雪辱を晴らしたいのがARTA NSX-GTだ。開幕戦では予選2番手グリッドを獲得したものの、レースでは11位フィニッシュ。ワンツーを達成したKEIHIN、RAYBRIGと、同じブリヂストンユーザーとして大きな差を付けられてしまった。今回の富士はウエイトハンデも0kgで大きなチャンスだが、ARTAの伊沢拓也は意外と冷静に現状を見つめる。


「もちろんトップに行けたらいいなと思いますけど、ウチは事前の富士テストではそんなに良くなかった。開幕戦でも他のNSXより速さがなくて、レースの最初のスティントで(予選2番手から)10番手まで順位を下げてしまいました。(優勝した)17号車(KEIHIN)とはそこまで大きな差はないと思いますけど、100号車(RAYBRIG)が飛び抜けて速い印象でした。開幕戦を見る限り、NSXが全車が速いという訳ではないと思います」


 開幕戦では同じブリヂストンユーザーで同じコンパウンドのタイヤを使っていても、チームごとのわずかなセットアップの違いや使用パーツの違いでタイム、順位差が大きく出てしまった。この傾向はレクサス陣営内だけでなく、ホンダ陣営内でも同じようのようだ。


「レクサス陣営も全車速いわけではないですからね。そういった差は、結構あると思います」と伊沢。「今回も30kgのウエイトハンデがありますが、100号車は速いと思います。500kmのレースなので、なんとか上手く進めて表彰台を狙っていきたいですね」と、今回の抱負を語った。

開幕戦で2位のRAYBRIG NSX-GT。30kgのWH搭載の第2戦、ポテンシャルの高さでどこまで行けるか。

 これまで安定したパフォーマンスを見せていたブリヂストンユーザーだが、開幕戦ではチームごとの差が大きくなりはじめた。そこにミシュラン、ヨコハマ、ダンロップ勢がどのように絡んでくるのか。タイヤメーカーの差が付きにくく、メーカーごとのパフォーマンス差も薄れて、チーム単位での戦いになりそうなのが、今シーズンの戦国模様のGT500クラスだ。


 第2戦富士の天候は予選日が雨上がりの難しい路面コンディションとなりそうで、決勝日はドライの予報。長丁場の戦いではマシンのパフォーマンスだけでなく、レース戦略やピットストップ、そしてセーフティカー時の臨機応変なリアクションなど、チームの総合力が試される。低気温でイマイチ勢力図が見えずらかった開幕戦のGT500クラスだが、この富士戦ではその真の実力が明らかになりそうだ。


開幕戦で予選3番手を獲得したCRAFTSPORTS MOTUL GT-R。長丁場のレースでGT500新規チームとしてどのような戦いを見せるのか。

山田健二エンジニア急逝で田中耕太郎エンジニアが移籍して加入したWAKO’S 4CR LC500。今回の注目チームのひとつ。

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