野茂英雄のメジャーデビューから30年 山本由伸が与えたトルネード級衝撃の快投
2025年5月4日(日)1時0分 スポーツ報知
◆米大リーグ ブレーブス1—2ドジャース(2日、米ジョージア州アトランタ=トゥルイストパーク)
ドジャース・山本由伸投手(26)が2日(日本時間3日)、6回2死まで無安打の快投を見せ、6回1安打無失点で4勝目。防御率0・90は堂々のメジャー全体トップだ。3、4月の月間MVPも発表され、日本人投手では史上5人目の受賞という快挙も達成。ド軍の先輩・野茂英雄のメジャーデビューから30年の記念日に、負傷者続出の投手陣を支える新エースが貫禄を示した。
球場に歓声とため息が入り交じった。6回2死。無安打投球を続けていた山本はライリーに右中間への二塁打を許した。本人は「9回までいくことが難しいことなので、あまり考えてなかった」と冷静に振り返ったが、無安打無得点を期待させた91球。6回1安打無失点、6奪三振とエースの投球で4勝目を挙げた。
月間MVP御礼の快投だった。3、4月の最優秀投手賞を初受賞したことが試合前に発表されたが、「事前に知らされていなかったので。僕もネットで知りました」とサプライズに頬を緩めた。5月2日は、95年に野茂がメジャーデビューを果たした記念日。ちなみに同年6月の野茂が、日本人選手の月間MVP1号だった。球団の公式Xでも当時の写真や映像が紹介されたが、30年後の山本も「トルネード」級のセンセーショナルな内容が続いている。
最速96・4マイル(約155・1キロ)の直球と、全投球の中で真っすぐより2%多い約29%を占めたスプリットを中心に打者を圧倒。ロバーツ監督に「ノーヒッター級の内容」と言わしめた。2回には顔面付近を襲った打球速度106・4マイル(約171・2キロ)のライナーをつかむ反射神経も見せた。
指揮官は由伸の昨季からの変化について「自信」と断言する。「山本は日本時代の彼に戻ったと思ってるし、今の方がよりいい投手だと思う」。山本自身も海を渡る直前に史上初の3年連続沢村賞&MVPと無双状態だったオリックス時代に「より近いかなと思います」という。「昨年はストライクゾーンにうまく投げられる球種やいい調子の試合が少なかった。今年は安定した状態でどの球種も投げられているので、自分の投球ができている証拠かな」。開幕から7登板は全て自責2以下。無失点試合が3度目で、MLBトップの防御率は再び0点台に突入し、0・90と異次元の数字だ。
8回終了後には雨による1時間13分の中断もあったが、4勝目。今季最長の敵地10連戦の初戦でチームを今季2度目の6連勝に導いた。スネルらを欠く状況のため、次回は今季初の中5日となる予定。「彼が登板すれば、勝つチャンスがある。そういう存在になっている」とロバーツ監督。背番号18はドジャースに欠かせない。(中村 晃大)
◆野茂のデビュー戦 ストの影響で開幕が遅れ、1995年5月2日、敵地サンフランシスコのキャンドルスティックパークのジャイアンツ戦でデビュー。ボンズを擁する打線と対戦し、5回1安打無失点、4四球7奪三振。勝利はつかなかったが、鮮烈なデビューとなった。