DeNA・バウアー キャリア初1―0完封!122球熱投で唯一セで勝ちなしの巨人にリベンジ
2025年5月4日(日)5時30分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ DeNA1−0巨人(2025年5月3日 横浜)
DeNAのトレバー・バウアー投手(34)が3日の巨人戦に先発し、9回6安打無失点、7奪三振の力投で日本初完封勝利を挙げた。1—0での完封はメジャー時代も含めて初。4月の前回対戦で5回5失点KOされるなど、セ・リーグで唯一勝ち星がなかった相手にリベンジを果たした。チームは2連勝で勝率5割復帰に王手。5月反攻に向け、勢いづく122球の熱投となった。
8回を投げ終え、球数は110球。バウアーは「10回まで投げるのか…」と、0—0が続く展開を覚悟していた。
その不安を女房役の松尾が8回の決勝左犠飛で吹き飛ばす。勇気をもらった右腕は、122球でメジャー時代も含めキャリア初の1—0完封に「完封は自分の大事な指標。メジャーなら7回で降板だった。松尾も素晴らしかった」と声を弾ませた。
6安打7奪三振で並べた9個の「0」。2連敗中だった巨人戦での初勝利には2つの鍵があった。まずは、今季初勝利を挙げた4月27日広島戦に続きコンビを組んだ、松尾の存在だ。初回、4、7回と3度、盗塁を阻止してもらっただけではなく「試合前に手書きでA4用紙に相手打者の特徴を書いて持ってきてくれた」と感謝する。
5回5失点でKOされた4月16日巨人戦は全体の43・4%だった直球の割合を、32・8%に減らした。一方、スプリットチェンジは15・8%から20・5%に増やし、縦の変化で揺さぶった。バッテリーで話し合い、巨人打線を幻惑。勝利の瞬間は熱く抱き合った。
野手の諦めない姿勢も、完封につながった。5回。試合前まで通算6打数3安打、その安打は全て本塁打だった岡本に左越えに安打を許した。だが二塁に滑り込んだ岡本が一瞬ベースから離れ、二塁手・牧がタッチ。一度はセーフの判定もリプレー検証でアウトに覆った。バウアーは「1点入るのが想像できた」と粘りに感謝した。
4月28日。前日に来日最多129球を投じた男は鎌倉に出かけた。目的は「大仏様」。休息や回復に充てたい一日でも、史上初のサイ・ヤング賞と沢村賞のダブル受賞を目指す背番号96は、日本滞在を心から満喫するエネルギーも持っている。
中4日で先発予定だった2日は、オープン戦も含め3度目の雨天中止となり、大原チーフ投手コーチが「てるてる坊主」を作製。試合後、バウアーは晴天と白星を運んでくれたアイテムを首から下げ「マイフレンド」とちゃめっ気も見せた。
三浦監督は言った。「9回続投?バウアーですから」。その信頼に応え、投手の勲章でもある1—0完封を成し遂げた。(大木 穂高)
≪DeNA投手の1—0完封勝利は今永以来≫バウアー(D)が来日初の完封勝利。DeNA投手の1—0完封勝利は19年8月18日広島戦の今永以来。巨人戦では09年10月2日のランドルフ以来16年ぶり13人目(14度目)になる。バウアーはインディアンス(現ガーディアンズ)時代の19年6月16日タイガース戦(9回)、レッズ時代の20年8月2日タイガース戦、同19日ロイヤルズ戦(コロナ禍のため、いずれも7回)と大リーグで3度完封勝利をマーク。ただし、1—0完封はこの日が初めて。