「妻は偉大な伴侶」開幕前に発熱の巨人・グリフィン、家族へ感謝の初勝利 2歳の娘はオレンジのリボン
2025年5月5日(月)5時20分 スポーツ報知
今季初勝利のグリフィンは試合後、左翼席の巨人ファンに向かって帽子を振る(カメラ・小林 泰斗)
◆JERA セ・リーグ DeNA1ー3巨人(4日・横浜)
足取りは軽やかだった。巨人のF・グリフィン投手(29)が今季初先発で6回2安打0封と不安を一掃した。「雰囲気も良かった。何の文句もない。いい球場だ」。来日3年目にして初のハマスタで6奪三振の快投。24年8月28日のヤクルト戦(神宮)以来、249日ぶりのウィニングボールが手に届くと、五月晴れの下でクールな顔を崩した。
阿吽(あうん)の呼吸でリズムに乗れた。昨季全20登板のうち、15戦でコンビを組んだ岸田と試合前から入念に対策を練った。最速148キロの直球に手応えを得ると、キレ味鋭いスライダーで次々と空を切らせた。「終始一貫して同じ考えで投げられた。去年も踏まえた上でのリード。波長が合いやすい」と女房役との共同作業でスイスイ85球。「岸田は(試合に)出ていない時もしっかり裏で準備している」と信頼十分にミットめがけて投げ込んだ。5回1死三塁では石上の投ゴロを捕球し、本塁へトスして生還を阻止。連係もバッチリだった。
開幕2日前に発熱し、3月29日のヤクルト戦(東京D)の先発を緊急回避。さらに上半身のコンディション不良で、復帰戦となるはずだった4月20日の同戦(神宮)も登板回避した。その影響で同戦は救援陣によるブルペンデーに。「(精神的に)苦しかった」。急きょ来日初先発となったケラーには、謝意を込めて試合前にメッセージを送っていた。ようやく初登板にこぎ着けたのは同26日の阪神戦(甲子園)。5回から登板し2回2安打1失点だった。
発熱時は腹痛、おう吐を何度も繰り返した。痛む心を癒やしてくれたのが日本についてきてくれた家族だった。「単身赴任なら、僕は今と同じような働きはできていない。彼女たちがいてくれることが本当に大きいんだ」。自宅ではあえて、野球の話をしないのがグリフィン家流。「妻は偉大な伴侶。娘が日本でどんどん成長していく姿を見るのも、とても楽しいね」。オレンジのリボンで髪を束ね、ジャビット人形を握りしめて応援してくれた2歳の娘、妻の前でこの日、パパはヒーローになった。
東とは初の投げ合い。昨季防御率1・59と得意にしたDeNA打線を手玉に取り、阿部監督も「素晴らしい投球だった」と絶賛。シーズンはまだ110試合以上ある。「苦しい時も、こうなることを思い描いて準備してきた。これから先、できることを考えていきたい」。阿部巨人に、欠かせない助っ人がカムバックした。(堀内 啓太)