北九州市の13歳がNBAのコートでパフォーマンス…小学校で不登校経験、「なりたい自分への第一歩」と決意新た
2025年5月8日(木)7時55分 読売新聞
世界で活躍するパフォーマーを目指す北村君(3日、福岡県北九州市で)
フリースタイルバスケットボールに打ち込む福岡県北九州市の中学生が3月、米プロバスケットボール協会(NBA)のコートでパフォーマンスを披露した。小学校の頃に不登校となったが、夢中になれるものを見つけて腕を磨き続け、世界最高峰のスポーツエンターテインメントの舞台に立った。
北九州市小倉北区の北村
フリースタイルバスケは、バスケの動きにダンスや音楽を融合させたパフォーマンス。ジャンプや逆立ちを交えてアクロバチックに踊りながら、ボールを体の一部のように操るのが見せ所だ。北村君はNBAでの出演について、「やってきたことをぶつけるだけと思って臨み、やりたいことをやれたからうれしかった」と振り返る。
米国滞在中にはNBAに挑戦している河村勇輝選手に会ったり、街中でパフォーマンスを披露して現地の人と交流したりした。多くの刺激を受け、「この経験は、なりたい自分への第一歩」との思いを強めた。
4歳でダンスを始め、小学2年でフリースタイルバスケに出会って魅了された。月1回程度、福岡市で開かれる侍ボーラーズのアカデミーに通い、小倉北区の勝山公園で自主練習に励むようになった。
その頃、小学校を苦手に思う気持ちが強まり、3年からは全く行かなくなった。母親の成美さん(49)は「マイペースでこだわりが強いので、集団生活が合わなかった」と語る。成美さんも当初は悩んだが、一生懸命に練習に取り組む息子の姿を見て、次第に不安はなくなったという。
北村君は、侍ボーラーズのメンバーとBリーグのハーフタイムショーに出演したり、個人でイベントやコンテストに出たりして技術を磨いてきた。知名度が高まり、スポーツ用品ブランドのモデルにも起用されるようになった。「世界で活躍するパフォーマー」という夢に向け、昨春にはフリースクールに入学し、英語などの勉強にも力を入れている。
成美さんは、侍ボーラーズのメンバーなど仲間に恵まれたことに感謝し、「学校に行けなかったとしてもキラキラと輝ける。悩んでいる家庭の方に、こうした生き方があることを知ってもらえたら」と話している。
◇
北村君は3日、小倉北区で開かれたイベントに出演し、観客を沸かせた。回転させたボールを指1本で支える技を、子どもたちに体験してもらう場面もあり、「フリースタイルバスケの魅力を、多くの人につないでいきたい」と語った。