関本賢太郎氏 “あわよくば”を捨てた6回の阪神 確実に取りにいった1点が勝敗を決定づけた
2025年5月11日(日)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神2-0中日(2025年5月10日 甲子園)
【関本賢太郎 視点】阪神・藤川監督の信頼に、中軸打線が応えた。1—0の6回無死一塁で、ベンチは中野に手堅く送らせた。それまでの2安打で高橋宏に今季通算5打数5安打の好相性にもかかわらずだ。しかもカウント3—1。四球狙いや、エンドランで好機拡大の可能性が出てきて色気を出したいところだが、犠打のサインを継続した。エース同士の投手戦、複数得点はいらない、1点でいいという判断だった。
森下の二ゴロで2死三塁から佐藤輝が左中間二塁打。捕手・木下の配球と、高橋宏の制球で完璧な投球でフルカウントに追い込まれたが、外角高め真っすぐを打ち返した。決して甘い球ではなかったが、佐藤輝の好きなコース。四球でもいいからボールの変化球、さらに言えば次打者の大山にも四球で、2死満塁で小幡勝負でもいいぐらいの覚悟が必要な場面だった。そこまでして得点されたのなら仕方がない。
中日バッテリーはストライクゾーンでの真っすぐを選択した。阪神はあわよくばを捨てて1点を取りにいった。勝敗を決定づける大きな1点だった。(本紙評論家)