異例の三軍降格も経験…今季1号の巨人・浅野翔吾「ここで野球できているのがちょっと信じられない」
2025年5月11日(日)6時0分 読売新聞
8回無死、ソロ本塁打を放ち喜ぶ浅野(10日)=野口哲司撮影
巨人3—2ヤクルト(セ・リーグ=10日)——巨人が競り勝った。同点の四回、内野ゴロの間に勝ち越し、八回に浅野の1号ソロで加点。救援陣が反撃をしのいだ。ヤクルトは終盤の追い上げも及ばなかった。
まばゆいナイター照明とファンの歓声の下、ヒーローインタビューに臨んだ巨人の浅野が笑った。「本当に、最近まで三軍にいたので、ここで野球できているのがちょっと信じられない」。今季初スタメンで放った初安打は、勝利につながる貴重な1号ソロとなった。
1点リードの八回無死。1ボール2ストライクから小沢のフォークボールをとらえた。「終盤だったので何とか出塁したかった」。無我夢中で振り抜いた打球は放物線を描き、バックスクリーン左へ飛び込んだ。その裏、ヤクルトに1点差に迫られただけに、価値のある追加点だった。
3年目の今季、レギュラー奪取を期待されたが開幕一軍から漏れ、二軍でも打率0割台と低迷。4月下旬には、一軍経験者で異例となる三軍での出場を命じられた。三軍では背番号3桁の育成選手らと地方遠征に参加。それまでのすり足から、左足を上げてタイミングを取る打法に取り組み、浮上の足がかりをつかんだ。
今月6日に二軍に昇格し、7日の試合で本塁打を放つと、そのまま試合中に途中交代して一軍に緊急昇格。潜在能力を評価する阿部監督の期待の表れだった。この日も、指揮官からは「三軍のつもりで気楽にいけ」と背中を押され、全力でプレーした。
昨季も、シーズン初安打が満塁本塁打となり、出場機会をつかんだ20歳。「本塁打にこだわらず、安打を量産してレギュラーを取れるように頑張りたい」。慌ただしく戻ってきた一軍の舞台でうっぷんを晴らす一本。これをきっかけに、巻き返しを図りたい。(佐野司)