日本ハム 新庄スペシャルだ!2ランスクイズで今季最多5連勝&貯金7「みんな凄いわ」
2025年5月14日(水)6時0分 スポーツニッポン
◇パ・リーグ 日本ハム7—0オリックス(2025年5月13日 エスコンF)
「新庄スペシャル」さく裂だ。首位の日本ハムは13日、オリックスに7—0で快勝した。2—0の7回1死満塁から、五十幡亮汰外野手(26)が会心の2ランスクイズに成功。試合前まで両リーグ最少の5犠打だったが、新庄剛志監督(53)が通算3度目となる秘策で一気に試合を決め、今季最長の5連勝を飾った。貯金も今季最多7とした。
新庄監督の目の奥が、きらりと光った。ここぞの場面。手元にあまたある作戦の中から、「ジョーカー」を切った。2ランスクイズだ。「(取材時間)50分、(スクイズを決めた)五十幡君に聞いてあげて。しかし、みんな凄いわ」とコメントを残し、軽い足取りで球場を後にした。
首位攻防の息詰まる投手戦が続いた。1—0の7回に1点追加し、なお1死満塁。打席の五十幡が応えた。2球目にスクイズを敢行し、投前に転がした。九里が本塁へトスできずに、三塁走者・万波が生還。さらに、九里が一塁へ送球した隙に二塁走者の代走・水野も本塁に猛ダッシュし、ヘッドスライディングで生還。記録は投手への2点内野安打だったが、ベンチの新庄監督も「よっしゃ!」と大きく手を叩いて喜びを爆発。今季3戦3敗、22年から6戦6敗を喫していた天敵・九里をついにKOした。
試合後の取材対応がなかった指揮官は、インスタグラムで秘策の裏側を解説した。「万が一、五十幡君が投手前に強く転がして九里君が本塁にトスし、フォースプレーでアウトになっても、若月君は(併殺を狙って)一塁に投げる計算。(それでも)五十幡君の足ならセーフだろう。その間に水野君がホームインしてくれれば」と説いた。仮にバント失敗で本塁封殺でも、最低でも1点は取れるという計算。1人前の伏見の打席、ここで一塁走者の石井に代走・水野を送った時点で策を思い描いていたという。
新庄政権では初年度の22年6月11日の中日戦、昨年7月31日のオリックス戦に続く3度目の成功と、もはや“お家芸”だ。五十幡はネクストバッターズサークルで「何かやると思っていた」と言えば、水野も「(想定は)していた。びっくりはしなかった」。4年で植え付けた新庄野球への意識がチーム全員の「あるかも」の精神につながり実を結んだ。
2リーグ制以降では新記録の開幕から24試合犠打なしで、試合前まで両リーグ最少の5犠打。両リーグ最多40本塁打を誇る重量打線ゆえだが、この日は得意の小技が決定打となった。八木打撃コーチは「成功したのでこれで相手も警戒してくる。それも強みにしていく」。首位独走を狙う指揮官の会心の一手は、今後への布石にもなる。硬軟織り交ぜ、いよいよ隙がない。(田中 健人)
≪新庄政権下では3度目2ランスクイズ≫両リーグを通じ2ランスクイズは、この日と同じ日本ハムが昨年7月31日のオリックス戦(打者浅間)で決めて以来。日本ハムは22年6月11日の中日戦(打者石川亮)でも記録しており、新庄政権下では3度目だ。
☆新庄日本ハムの2ランスクイズ
▽22年6月11日中日戦 4—0の5回1死二、三塁。新庄監督は「ポイントは2ストライクからやること」とカウント1—2からサインを出した。打席の石川亮は「脈拍が凄いことになっていた」と言いながら巧みに一塁側へ転がし、三塁走者に続いて二塁走者の今川も生還。春季キャンプから練習を繰り返し、指揮官は「完璧」と喜ぶ。
▽24年7月31日オリックス戦 6—1の6回1死二、三塁。新庄監督は1番・浅間の打席でカウント3—1から2ランスクイズを敢行。浅間は見事に三塁側に転がし、二塁走者の奈良間も一気にホームイン。2年ぶりの成功に「僕のサインに選手が応えられるようになっている」。