「ストップ!と聞こえたけど...」セオリーを破った「健大高崎の信号機」高須賀天丸

2025年5月20日(火)20時34分 スポーツニッポン

 ◇春季高校野球関東大会 準々決勝 健大高崎3—1習志野(2025年5月20日 ノーブルホーム水戸)

 今春の選抜で4強入りした健大高崎(群馬)が3—1で習志野(千葉)に競り勝ち、準決勝に駒を進めた。

 この試合は「スーパー1年生」の最速140キロ右腕・石垣聡志が公式戦初登板で3回3安打1失点と上々のデビューを果たした。そして、9回は今秋ドラフト1位候補の右腕・石垣元気(3年)がド派手に155キロをマーク。ただ、影のヒーローは三塁ベースコーチを務めた高須賀天丸(そらまる=3年)で間違いない。

 2回に先制点を許した直後の3回の攻撃。1死二塁から1番・石田雄星(2年)が右前に運んだ。二塁走者・伊藤大地(3年)は足を武器にする選手ではなく、次打者はチーム屈指の強打者・加藤大成主将(3年)。セオリーならば伊藤は三塁ストップ。三塁側の健大高崎ベンチも「ストップ!ストップ!」と声を張り上げていたこともあり、伊藤は三塁ベース目前でややスピードを緩めていた。だが、三塁ベースコーチ・高須賀の判断は「GO!」だった。ブンブンと腕を回し、伊藤は再びアクセル全開で本塁に向かっていった。

 結果的に本塁はセーフで同点に追いついた。伊藤は回り込むようなスライディングで本塁にベースタッチし、右翼手からの送球を捕手が弾いたことでタッチできなかった。ここで大事なことはタイミング的にも「セーフ」であったこと。高須賀の「GO!」判断は正しかった。

 リスクのある「GO!」にも見えたが、高須賀には絶対の自信があった。試合後、本人に聞いた。

 

 「伊藤も(本塁突入は)無理かなと思ったかもしれません(笑い)。あの場面でライトはセンター、レフトよりも少しだけ後方に守っていたんです。シートノックを見てライトの肩が強いことは分かっていたんですけど“いける”って判断できました。ベンチから“ストップ!ストップ!”の声は聞こえていましたが、打球の強さも考えて回しました。自分の判断通りセーフでよかったです」

 高須賀の好判断で同点に追いつき、続く4回に勝ち越した健大高崎は試合の流れをつかんだ。ロースコアゲームでもリードしていれば焦りは生じにくい。序盤の3回に追いついていなければ試合展開は変わっていたかもしれない。間違いなく高須賀は影のヒーローだった。

 「指導者には三塁コーチが試合を決めると言われています。試合を左右する責任を持ってランナーに指示を送っていきたい」

 決して豪打で圧倒するチームカラーではない。磨き抜いた打球判断、伝統の鋭いスライディングで先の塁を狙う緻密な攻撃が武器。だからこそ、健大高崎の信号機・高須賀はチームに欠かせない。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

スポーツニッポン

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