巨人・浅野翔吾が決勝二塁打から神の手ホームインで雄たけび 4回一挙4得点呼ぶ甲子園プロ初打点
2025年5月22日(木)5時0分 スポーツ報知
4回1死三塁、井上の遊ゴロで本塁に突入する浅野。判定はアウトもリクエストで覆る(捕手・梅野=カメラ・岩田 大補)
◆JERA セ・リーグ 阪神4ー5巨人(21日・甲子園)
巨人が浅野翔吾外野手(20)の活躍で甲子園で4月27日以来の今季2勝目を挙げた。4回無死一、二塁、左翼線にV打となる先制二塁打。高松商(香川)時代から慣れ親しんだ聖地でプロ初打点をマークすると1死三塁、三塁走者として遊ゴロで神ヘッスラで生還した。先発の井上温大投手(24)は6回2失点で1か月ぶりの3勝目。雨中での戦いを制し貯金は再び1とした。22日は、今季初の同カード勝ち越しをかけて山崎が先発する。
雨中の甲子園で暗雲を振り払った。二塁ベース上でヘルメットから雨水をしたたらせた浅野は、3度両手をたたいて雄たけびを上げた。「負けが続いてましたし、阪神に勝ちたかった。気合が入ってました」。0—0の4回無死一、二塁、カウント2—2から外角132キロスライダーを振り抜き、左翼線への先制適時二塁打。甲子園通算18打席目で初打点となった一打が、チーム28イニングぶりのタイムリーだ。高松商時代に通算打率6割4分7厘、4本塁打と大暴れした聖地の申し子が、新たな1ページを刻んだ。
浅野劇場は終わらない。1死三塁となり、井上の遊ゴロで三塁から迷わずスタート。ヘッドスライディングで本塁に飛び込んだクロスプレーで一度はアウトの判定となったが、約2分間のリプレー検証で判定が覆った。2点目の生還となり、巨人はこの回、一挙4得点。試合前の全体ミーティングで阿部監督から「熱い気持ちを持って」と訓示を受け「自分に言われてるような感じがした。一番若い自分がああいうことをしたらチームも盛り上がると思った」。ベンチで再び雄たけびを上げた20歳のひたむきなプレーが、前夜に完封負けを喫した嫌な流れを一掃。4時間10分の死闘を制した。
練習前、阪神・森下からバットをプレゼントされた。22年のU18日本代表壮行試合から交流があり、バットの感触をフリー打撃で確かめると実戦に即、投入。同じ22年ドラフト1位でプロ入りした虎の大砲から力を借り「明日以降もこのバットでいきたい」とうなずいた。
4月25日から11日間、過ごした3軍での日々。2軍昇格が決まった5日、駒田3軍監督に感謝を伝えると「浅野翔吾は『こういうお店なんだよ』ということだけはずっと忘れちゃいけない」と最後の助言を授かった。「駒田監督、金城(3軍野手総合)コーチ、2軍の矢野(打撃チーフ)コーチ、橋本(打撃)コーチもたくさん助言いただいた。全ての監督、コーチに感謝しています」。自身の長所は忘れない—。目先の数字を追い求めないフルスイングに、次の塁を狙う積極走塁。どこまでもひたむきな「らしさ」を取り戻した。
対阪神3連戦で今季初の勝ち越しを目指し、22日の第3ラウンドを迎える。「高校時代によくやってた場所なので、その時の躍動ができれば。一試合一試合、打てなかったら終わりというぐらいの気持ちで必死に。今は若手の選手が多いのでチャンスだと思って頑張ってます」。がむしゃらな若武者が、思い出の地で巨人に勢いをもたらした。(内田 拓希)