悔しさを感じながらバトルを通じ自信を深めた勝田貴元。ラリー1では「左足ブレーキを多用」/WRC

2022年5月25日(水)12時11分 AUTOSPORT web

 5月19日から22日にかけてポルトガル北部の大都市ポルトを中心に開催された、WRC世界ラリー選手権第4戦『ラリー・ポルトガル』において、2022年シーズンの自己ベストリザルトに並ぶ総合4位となった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)。このラリーでベテランのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)と3位表彰台争いを繰り広げた彼は今大会について、「難しい週末ではあったものの、4日間を通して安定した走りができました」と振り返った。


 今季第4戦として開催されたラリー・ポルトガルは、プラグイン・ハイブリッドが搭載された“ラリー1カー”で争われる最初のグラベル(未舗装路)イベントとして今月19日(木)に戦いの火蓋が落とされた。


 その初日を総合7番手で終え、翌20日には総合4番手に順位を上げた勝田は21日のデイ3で総合3番手に浮上。トヨタのチームメイトであるカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンスとともにワン・ツー・スリー体制を築く。しかし競技最終日となったデイ4、勝田は4番手ソルドの猛追を受け、最終ステージで逆転を許してしまい総合4位でのフィニッシュとなった。


 週明けの24日(火)にオンライン取材に答えた勝田は、「全ドライバーにとってラリー1カーでの初のグラベルラリーとなりましたが、そのなかで4日間をとおして、ある程度安定した走りができ、競争力のあるタイムを出せたステージもあった一方で、トップとの差を見てもやや離されすぎたステージもあったりしてなかなか難しい週末ではあったものの、大きなトラブルもなくクルマもどのステージでも安定したいいパフォーマンスを発揮できていたと思うので、それが好成績につながったと思います」と自身の戦いを総括した。


 印象的な表彰台争いの結果については、自身の力が不足していたことを「悔しい」としながらも、最終日だけでなく週末を通じてバトルが続いたなかで「クルマをゴールまで運べたというのは、自分にとっても自信に繋がりました」と述べている。


「個人的には表彰台に上がりたかったという気持ちが大きかったです。土曜のデイ3で総合3番手に上がって、いい流れではあったのですが、最終的には2.1秒という差で最終ステージで逆転されてしまい4位となりました」と語った勝田。


「戦っていた相手が経験豊富なダニ・ソルド選手、過去14〜5年ラリー・ポルトガルに参戦しており、最終ステージの“ファフェ”についても知り尽くしているドライバーです。そんな選手が大きなリスクを負ってプッシュしてきたときに対抗できなかった。自分の力不足が少し悔しい気持ちのひとつです」


「ただ、この週末を通してコンマ何秒という差で戦い、最後までクルマをゴールまで運べたというのは、自分にとっても自信に繋がりましたし、ひとついいパフォーマンスを前戦のクロアチア(総合6位フィニッシュ)と比べて発揮できたと思いますが、個人的にはまだペースを上げられる部分があると思うので、そこは自分の今いる立場を考えた上でどこまでリスクを負っていいのか、どこまでプッシュしていけるのかを見極めながら今後やっていきたいと思います」

ダニ・ソルドと2.2秒差の総合3番手で迎えた最終パワーステージ“ファフェ2”。ここでソルドが猛プッシュで勝田を4.3秒上回るタイムを記録。その結果、勝田は2.1秒差で表彰台を逃すこととなった
最終ステージまで3位表彰台を争ったダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)と勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル


■ラリー1初のグラベルラリー、ドライビングとセッティングでアジャスト


 前述のとおり、今戦はハイブリッドの搭載が義務化された“WRC新時代”に登場したラリー1カーでの最初のグラベルラリーとなったが、その走らせ方は昨年までのWRカー(トヨタ・ヤリスWRC)と比べてどのような点で異なるのか、これについて問われた勝田は次のように説明している。


「昨年の車両(WRカー)と比べると、どうしても重さだったりクルマの大きさもそうですし、グラベルの上での挙動は、やはり変わってきた部分が大きかったです」


「それに対してドライビングでアジャストする部分はもちろんあり、またセッティングの部分でもたくさんありました」


 新規定車であるラリー1カーは、マシンの開発および製造コストを削減する観点からパドルシフトやセンターデフの使用が禁止されている。今戦の結果、ドライバーズランキングで3番手に浮上した勝田によれば、この点もグラベルラリーにおけるドライビングスタイルに影響しているという。


「(GRヤリス・ラリー1で)ラリー・ポルトガルを走った上で昨年以上に思ったのは、ヤリスWRCよりも左足ブレーキを多用しないといけないかな、ということです」


「そこはやはりセンターデフがなくなった分をドライビングで補う。ペダル操作などでグリップを稼いだりクルマの挙動を安定させたりとか、そういったところをこれまで以上に意識して多用しないといけないかな、と感じました」

総合4位となった勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル

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