【2025スポニチ調査ファイル(7)】神港学園・岩崎皓斗 右肘故障から復活遂げた「ダイヤの原石」右腕

2025年5月27日(火)9時0分 スポーツニッポン

 新聞紙面と動画を連動させてアマチュア野球の有力選手をリサーチする企画「スポニチ調査ファイル」第7回は、神港学園(兵庫)の岩崎皓斗(3年)に迫る。まだ身体的には発展途上ながら、ヤクルト・奥川をほうふつさせる整った投球フォームから140キロ超を投げ込む本格派右腕。1年冬に発症した右肘じん帯損傷のため、2年春、夏を棒に振らざるをえなかった悔しさを、最後の夏にぶつける。

 マウンド上に、1メートル82、82キロの恵まれた体格が映える。無駄のない投球フォームから投げ込むボールは、抜群の切れを帯びる。神港学園・岩崎は、まさに“ダイヤの原石”だ。

 「コントロールと、ランナーが出てからの間(ま)の取り方やフィールディングというのが、自分の持ち味だと思っています」

 好きなプロ野球選手はヤクルト・奥川。体格、フォームも似ているが、参考にしているわけではない…と言いつつ「でも言われるとうれしい」。直球、カットボール、フォークが主体の投球スタイルも“本家”に近い。直球は最速141キロ(4月時点)。最大の魅力は“伸びしろ”だ。

 入学時の体格は1メートル79、75〜76キロ。今よりも、ひと回り小さかった。直球の最速も本人いわく「130キロ台前半くらい」。高校入学を機に、本格的にウエートトレに取り組み始め、今では最速が約10キロアップ。それでも自嘲気味に「めっちゃ弱い」と言うように、フィジカル面はまだ発展途上と言える。たとえば握力はチーム内でも平均以下だ。ただ、インボディは「87〜88」とバランスに優れ、除脂肪体重も66キロと筋肉質。そして投球センスも光る。ここに筋力が加わわって体が完成すれば、飛躍的な成長を遂げる可能性を秘める。本人も自覚しており「自分は下半身が弱いので、もっと強くしていかないといけない」と言葉に力をこめる。

 1年秋から好投手として知られ、同秋の県大会1回戦の姫路南戦で完封勝利など頭角を現した。さらに創志学園(岡山)、おかやま山陽(同)といった全国レベルの強豪相手の練習試合でも、完投勝利。だが、1年冬に右肘じん帯損傷、はく離骨折を発症し、雌伏。2年夏までのノースローを余儀なくされた。その期間を利用してウエートトレと走り込みに励み、スケールアップに成功。昨年8月に投球を再開し「もう痛みはない」と笑顔を見せる。今春県大会1回戦では実力校・明石商相手に、敗れたとはいえ1失点完投と実力の片りんも示した。

 姫路・灘中時代に在籍した姫路アイアンズでは、2年時は主に捕手、3年時も三塁手を本職とし、2番手投手だった。だが神港学園OBで2年時に正捕手として96年夏の甲子園に出場し、法大、JR西日本でもプレーした北原直也監督は、中学時代の岩崎をひと目見て、投手としての才能を見いだしたという。

 「ひと目見て、“いいな”と思いました。投手としてのセンスがありますね。けん制、フィールディングもうまいですし、打者によって間の取り方を変えて投げたり、自分でも工夫できる投手です。指先の感覚も持っています。まだ体はできあがっていないですが、そこも伸びしろと捉えられます」

 現時点の目標を「150キロを投げられるようにしたい」と掲げ、将来の目標は「プロとか社会人といった上のレベルで活躍できる選手になりたい」と意気込む岩崎。高みを見据え、今は土台づくりを推進する。(惟任 貴信)

 ◇岩崎 皓斗(いわさき・ひろと)2007年(平19)8月7日、兵庫県姫路市出身。妻鹿小2年から姫路アイアンズで野球を始める。姫路灘中でも同チームに所属し、捕手、三塁手、投手。神港学園では1年秋に背番号10でベンチ入り。50メートル走6秒9、遠投95メートル。1メートル82、82キロ。右投げ右打ち。

スポーツニッポン

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