メルセデス、ひとつしかない新型ウイングをラッセルに託したのはハミルトンの提案だったと明かす/F1第8戦
2024年6月1日(土)7時0分 AUTOSPORT web

メルセデスF1のトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、F1第8戦モナコGPに持ち込まれた新しいフロントウイングがひとつしかなかった理由と、それをルイス・ハミルトンではなくジョージ・ラッセルが使用することになった経緯を説明した。
モナコGPの間、ハミルトンは、「予選でジョージを上回ることは期待していない。彼には新しいフロントウイングがあるけれど、僕にはないからね」と繰り返し強調していた。チームによるこの決定は、ハミルトンがシーズン末にメルセデスを離れてフェラーリに移籍すると発表して以来、ラッセルが事実上のナンバー1ドライバーになったことの証拠だと、多くのハミルトンファンは受け止めた。しかし実際は、チームの決定には完全に論理的な説明があった。
トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、恒例となっているレース後の報告のなかで次のように説明した。
「あのウイングは、モントリオールではレースに向けた台数を準備する予定だ。通常レースに向けた台数と言えば、少なくとも3台ということだ。各車に1台ずつ用意し、何かあった場合に備えてスペアも用意する。一気に3台作ることはない。最初に1台作り、次に2台目、そして3台目、と作っていく。その結果、モナコに持ち込めるものが1台できた。週末に向け、金曜日までに準備ができるものだ」
「少し前にドライバーたちが、なぜいつもフルセットが揃うまで待つのかと尋ねてきた。どちらかひとりにまず使わせてはどうか、とね。パフォーマンス面におけるチームの状況を考えると、我々と彼らは改善し学ぶ必要があるということに同意した。そのようにして、マシンに違う仕様を持たせるのは非常によいことだ。現在の状況を踏まえ、我々は喜んでコースに1台を持ち込むことに同意したし、彼らもそのことに満足していた」
そしてショブリンは、1台しかない新しいフロントウイングをモナコでラッセルに託すことを決めたのは、ハミルトン自身だったことを明らかにした。
「誰が使うのかということを、どのようにして決めるのかが難しかった」
「だがルイスは、『部品が足りない状態でこれを使い始めるのなら、モナコでジョージに使わせよう。今後のレースでは1回のアップデートがあるし、もちろんこれからは交互に走ればいい』と言った。ルイスは我々の決定を非常に簡単にしてくれた」
チームが先週末に経験したこと、また、モナコは空力パーツを検証するのに理想的なコースではないという事情を考慮しても、ショブリンは新しいフロントウイングが前進をもたらしたと考えている。
「チームが通常はモナコにアップデートキットを持ち込まないのには理由がある。コースの速度が非常に遅いためだ。とても混雑するし、ストレートが短いので、実際に何かを評価するのは非常に難しい。しかし、我々が見たすべてのデータは、それがパフォーマンスを発揮し、マシンの感触の面でメリットをもたらしていたことを示している」
「ジョージはこれに満足し、正しい方向への一歩だと感じていた。これまで目にしたことには満足しているが、モントリオールではさらに学ぶことになる。その後は、特にバルセロナのようなコーナーのスピードレンジが幅広いコースに行けば、深く学び始めることができるだろう」
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