大谷翔平の図抜けた打撃には“お手上げ” カブス右腕が漏らした天才の凄み「僕は苛立ちも感じなかったんだ」

2023年6月7日(水)17時37分 ココカラネクスト

インハイへのスピードボールを巧みにはじき返した大谷。このひと振りには相手投手も脱帽するほかになかった。(C)Getty Images

 乾いた音がアナハイムの夜空に響き渡った瞬間、球場には確信めいた雰囲気が漂った。現地6月6日に本拠地で行なわれたカブス戦で大谷翔平(エンゼルス)が放った一発だ。

 0対4とエンゼルスのビハインドで迎えた4回裏、先頭打者として大谷は打席に入った。対峙したヘイデン・ウェズネスキーにチームはノーヒットに抑え込まれ、何か反撃の糸口を見出したい局面であった。

 そして大谷は見事に“逆転”への活路を創出する。カウント2-2からインハイに投じられた88.9マイル(約143キロ)のカットボールを、肘を折りたたんで引っ張って強振。鮮やかな放物線を描きながらライト方向へと弾き出された打球はライトを守った鈴木誠也の頭上を越え、ライトフェンスの線の上を直撃。審判団の協議の結果、値千金のホームランとなった。

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 この一撃で勢いづいたエンゼルス打線は続く5回裏に一挙5点を奪って逆転。カブスを6対4で破ってみせたのである。

 無論、渾身の一球を弾き返されウェズネスキーにとっては痛恨だ。しかし、25歳の右腕は、試合後にカブスの試合を中継している米放送局『Marquee Sports Network』のフラッシュインタビューで、「僕は良い球を投げたんだ」と吐露。対峙した偉才にただただ脱帽した。

「オオタニが打ったピッチングは悪いボールじゃなかった。だから僕は彼に脱帽するよ。あの場面で完璧にアジャストしてきたからね」

 昨季にメジャーデビューを飾ったばかり。経験は決して豊富ではない25歳だが、二刀流戦士との初対決での“敗北”を素直に認めた。そして、こうも語っている。

「間違いなく悪いボールじゃなかったんだ。僕はホームランを許したらイライラするものなんだけど、あの場面ではそういう感情が起きなかった。苛立ちも感じなかったんだ。良い投球をしたけど、彼がそれを上回るスイングをしたんだって話さ」

 相手が思わず諦めを悟ってしまうほど、渾身の一球を容易くはじき返した大谷。やはり彼の実力は凄まじいという他ない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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