躍進たかのこの湯 GR Supra GT、そしてHOPPY Porsche。乗り比べた土屋武士が語る速さのワケ【GT300予選あと読み】

2021年7月18日(日)9時30分 AUTOSPORT web

 7月17日(土)、栃木県のツインリンクもてぎで開催されたスーパーGT第4戦もてぎの公式予選。GT300クラスでは、三宅淳詞/堤優威組たかのこの湯 GR Supra GTが予選2番手につけ、2020年の第7戦もてぎと並ぶMax Racingとしてのチーム予選最上位タイの結果を残した。


 今季から車両をスイッチしたGT300規定のGRスープラのスイッチ3戦目の躍進の理由、そして8番手につけたHOPPY Porscheの予選について、“走れるエンジニア”土屋武士HOPPY team TSUCHIYA代表に聞いた。


 2020年からスーパーGTに参戦を開始したMax Racing。チームはスーパー耐久参戦時代からつちやエンジニアリングがメンテナンスを務めており、2020年から参戦したGT300でもメンテナンスを担当。HOPPY team TSUCHIYAとピットを並べ参戦している。2021年からはGRスープラにスイッチし、三宅と堤という若きふたりがスピードをみせているが、いよいよこの第4戦で予選2番手というスピードをみせてきた。


 この躍進の理由について、土屋代表に話を聞くと、「第2戦富士の結果が散々だったので、5月31日に富士スピードウェイでスポーツ走行に行き、いっぱい乗りました」という。もちろん「乗りました」というのは、これまでHOPPY Porscheでもそうしてきたように、自らドライブしたということだ。


 たかのこの湯 GR Supra GTはシェイクダウンでもドライブしていたが、それ以来のドライブ。そのシェイクダウン時に感じていたという違和感は、第1戦岡山でのQ1トップで良い方向にいっていたのかと思っていたが、このスポーツ走行で「セットアップに対する反応と違和感が、理に適っていない」と気づいた。


 その問題を解決するために、6月にツインリンクもてぎで行われたタイヤメーカーテストで、三宅と堤に加え、ふたたび自らがドライブした。対策できるパーツを持ち込み、「足りなかったけど、良い方向にいった。ちゃんとセットアップしたら、『理に適った反応』があった」と手ごたえを得たのがこの結果へのきっかけだ。三宅と堤にもセットアップをトライしてもらい、同じことを自らも試し、タイヤテストも実施。「自分が知っているクルマにして持ち込んだ」と第4戦に挑んだのだ。


「三宅と堤という、若くて速いけれど、まだまだ経験値が少ないドライバーで挑んでいますが、過去にGT300でチャンピオンを獲っているのは、経験あるベテランと勢いある若手という図式が多いですよね。速いだけではGT300で勝てないですし、チャンピオンも獲れない。そこで、自分の“特権”を活かして、それをふたりに伝えながら、今回こういう感じでセットしよう、ドライブしようというレクチャーをしながら今回進めています」と土屋代表。


「もちろん自分が乗っていなければこんなことはできないし、乗っていたからこそ、ふたつのチョイスのうち、正しい方向に進められることができた。どのクルマでもそうだけど、タイヤを使い切れるようにセットアップした。そこで理に適っていないことは、徹底的につぶすやり方をしているので、ようやく自分が知っているクルマにできたなと」


■2台のタイム差はコンマ4秒


 一方、自らの愛する、そしてもてぎを得意とする松井孝允/佐藤公哉組HOPPY Porscheもおろそかにしているわけではない。タイヤメーカーテストでは、土屋はHOPPY Porscheもドライブした。同じタイヤ、同じエンジニア、ドライバー(土屋自身)で評価をしているので、HOPPY Porscheとたかのこの湯 GR Supra GTを同じ“物差し”で評価しているというわけだ。世界広しと言えど、こんなアプローチをしているのはドライバー出身で、メンテナンスガレージも運営し、エンジニアリングも知る土屋だけだろう。


 その点で、HOPPY Porscheのタイムは「良くできました」というもの。Q1で佐藤公哉がマークした1分48秒251は、GT-R以外のGT3カーでは予選全体のトップだ。「これは、ヨコハマ全体でみんなでやってきたことが実を結びはじめたから。これは必然で、予想がついていた。勝負は来年だと思うけど、いい戦いができるようになってきた」という。


 もちろんGT-R、そしてたかのこの湯 GR Supra GTを含むGRスープラもHOPPY Porscheにとってはライバルだ。「まだまだGRスープラも速くなる」という。「GRスープラも第2戦からの準備、メーカーテスト、ずっとやってきたタイヤ開発の面で、必然だよね、という気はする」とのこと。


 ちなみに「ただ、あくまでいちレースファンとしては、GT3のトップとはタイムは合わせた方がいいよね」という。今回、GT3勢は1分48秒台で固まっているが、たかのこの湯 GR Supra GTは1分47秒台をマークしている。「自分で(GRスープラに)乗って、自分の(ポルシェの)タイムに間違いなく敵わないんだから(笑)。何が強くて何が弱いって全部分かってる。それも同じタイヤだし」というから面白い。メーカーテストの際、2台を乗り比べてのタイム差はコンマ4秒。今回の予選でもコンマ4秒差だったというのだ。


「同じエンジニアで同じチームで、GT-RをのぞくGT3のトップと、GT300規定のトップを獲れたんだから、これは使わないテはないよね(笑)」と参加条件についてチクリと語った土屋代表。成り立ちも違う2台だが、「合わせるなら予選ウエイト、あとは車高かな?」とスーパーGT、GT300全体を考えた話も止まらない。もちろんタイヤの要素もあるので、参加条件はGT300の永遠のテーマではあるが。


 この週末の路面温度の高さから、タイヤ交換等の作戦は「分からない」というが、決勝レースで2台がどんな戦いをみせるのか。同じエンジニア、同じタイヤで、どう異なるレースが展開されるのか、ぜひレース全体とともに楽しみにしていただきたい。

2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

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