【高校野球】慶応旋風は何がすごい?背景にある「エンジョイ・ベースボール」の深みとは

2023年8月22日(火)6時0分 ココカラネクスト

決勝は23日に慶応と仙台育英が対戦する(C)ACPHOTO

 また一つ歴史を動かした。

 8月21日に行われた全国高校野球選手権記念大会準決勝第2試合は慶応(神奈川)が土浦日大(茨城)を下し、決勝に進出。第2回大会以来、107年ぶり2度目の日本一に王手をかけた。決勝は今春のセンバツ2回戦で敗れた仙台育英(宮城)と23日に対戦する。

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 慶応は2回2死二塁から先発の小宅雅己(2年)の中越え適時二塁打で先制すると、6回には1死三塁から主将の大村昊澄(3年)の右前適時打で追加点を奪った。

 投げては先発した小宅が最速140キロ台の直球とキレのある変化球のコンビネーションで土浦日大打線を抑えた。9回118球7安打無失点の力投で自身初の完封勝利を飾った。

 一方、歴史的な勝利を飾った後でも森林貴彦監督は変わらなかった。大会を通じて爽やかな笑顔とひょうひょうとした語り口で生徒をたたえる姿勢が注目を集めているが、この試合後もNHK総合で放送された勝利監督インタビューで開口一番、「笑っちゃうくらい苦しい試合でした。でも楽しい試合でした」と笑顔を絶やさなかった。

 ここまで継投で勝ち抜いてきたチームだが、完封勝利した小宅に関して聞かれると「小宅一人というのはイメージしていなかったが、代え時がなくて」と本来は負担をかけさせたくなかったとした上で、一人で投げぬいたエースを「よく頑張ってくれました」とたたえた。

 就任時から「高校野球を変える」として、脱・坊主、練習メニューを自らで考えさせるなど、選手の自主性を重んじ、従来にはない取り組みでチーム強化に励んできた。

 快進撃を支えているのは野球部がモットーとして掲げる「エンジョイ・ベースボール」の精神だ。

 この言葉の意図について森林監督はこう語っている。

 「野球を楽しむためにはどうすればいいか。楽しめるようになるには何が必要で、自分たちはどんな努力をすればいいか」と勝利に向かう過程で必要なスローガンだと認める。

 実際にこの日も一人で9回を投げ抜いた小宅は仙台育英との決勝に臨むにあたって、「自分たちのエンジョイ・ベースボールで観客の皆さんも楽しんでもらいたい。自分たちの野球をすれば勝てると思うので頑張りたいです」と腕をぶす。

 伸び伸びとあくまで自分たちらしく—。野球に真剣に取り組む高校球児の姿はいつの時代も多くの人々の胸を打つシーンともなっているが、今夏を席巻している慶応ナインの姿もまた人々の忘れられない記憶となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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