首位町田を追う3クラブのキーマンたち【J2リーグ2023】

2023年9月12日(火)18時0分 FOOTBALL TRIBE

乾貴士(左)染野唯月(中)リカルド・グラッサ(右)写真:Getty Images

消化試合数に多少の差はあるものの、多くのクラブが残り10試合を切った2023明治安田生命J2リーグ。昇格、残留、プレーオフと注目ポイントの多いことがJ2リーグの魅力だが、中でも最注目となるのはやはり優勝争いだ。


今季、冬に監督を含めたスタッフ陣の刷新と大規模な補強を敢行した町田ゼルビアが、開幕から好調で現在1位。1試合未消化ながら2位との勝ち点差は6で、残りの試合数を考慮すれば優勝に王手をかけていると言えよう。残念ながら、チームを牽引してきたFWエリキの怪我による長期離脱こそあったが、エリキ不在となった直近3試合の戦績は1勝1分1敗。エース不在でも勝ち点を積み上げることに成功し、改めてチームとしての強さを示している。


しかし、町田を追う2位以下のクラブも僅差で迫っており油断ならない状況だ。勝ち点差10以内で首位を狙うのはジュビロ磐田、清水エスパルス、東京ヴェルディの3クラブ。いずれもJリーグ史で名門と名高いクラブばかりだ。優勝の可能性が残っているだけに、新進気鋭の町田に易々とタイトルは譲らない姿勢を崩していない。ここでは、そんな町田を追う3クラブのキーマンと今後の展望について紹介していく。




ジュビロ磐田 DFリカルド・グラッサ 写真:Getty Images

ジュビロ磐田


キーマン:DFリカルド・グラッサ


J2第34節を終えた現在、勝ち点差6で首位町田を追う2位のジュビロ磐田。自動昇格圏につけてはいるが、直近5戦は町田との直接対決で敗れるなど2勝2敗1分の成績で、11戦負けなしだったころから考えればやや失速が見られる。加えてプレーオフ圏となる3位との勝ち点差はわずかに1。町田を追う一方で下に居並ぶクラブからのプレッシャーも相当大きなものだろう。


磐田は残り8試合、そのなかに現状3位清水エスパルス、4位東京ヴェルディとの直接対決も残している。その2クラブも含め6つの対戦カードで今季勝ち星を掴めていない。もちろん、チーム状態も環境も異なるためあくまでも参考程度の戦績だが、少なくともプラスに捉えられる要素ではないだろう。そこでキーマンとして挙げたいのがDFリカルド・グラッサだ。


今季の磐田は補強を禁じられた中、昨年わずか2試合の出場だったMFドゥドゥやユース出身のFW後藤啓介の活躍もあり、ここまで61得点はリーグトップタイと上位に相応しい攻撃力を誇っている。しかし、失点数に目を向けると37失点は上位4クラブ中で現状唯一の30点台だ。残る対戦カードでも6試合で失点しており、勝ち点を積むためには一層DF陣の奮起が不可欠だ。


リカルドは直近の第34節で対峙したFWシュヴィルツォク(大宮アルディージャ)をはじめ、今季J2の強力なFW陣相手にフィジカルの強さを発揮し守備陣の中核を担ってきた。残りの対戦カードでも、V・ファーレン長崎、清水エスパルスなど高さと強さを誇るFWを要するチームが残っている。失点を抑え自動昇格を確実なものとし逆転優勝を狙うためにも、改めてリカルドの強さが求められることは間違いない。


清水エスパルス MF乾貴士 写真:Getty Images

清水エスパルス


キーマン:MF乾貴士


圧倒的な戦力で昇格候補の筆頭に挙げられていた清水エスパルス。しかし、現状は3位と自動昇格圏に辿り着けずにいる。シーズン序盤の7戦勝ち無しも響いているが、直近5試合中2連続引き分けも含めて下位勢を相手に勝ち星を取りこぼしていることが勝ち点に大きく影響している。


とはいえ、7月以降は12戦負けがなく、自慢の攻撃力が鳴りを潜める試合でも守備陣には安定感が見られる。残り8試合の中には今季3得点以上を挙げて勝利した対戦カードが4つ残っている。自動昇格圏争いの中では得失点差も重要になってくることから、改めて攻撃陣の爆発が必要になるだろう。そこでキーマンとなるのがMF乾貴士だ。


今季、乾が出場しなかった10試合のうち、複数得点できたのは大勝した第10節のレノファ山口戦のみ。もちろん、出場した試合でも無得点あるいは1点止まりの試合もあるが、複数得点した14試合のうち13試合に乾が出場していることは無視できない数字と言えよう。常に相手にとって危険なエリアを狙い、出し手としても受け手としてもゴールに直結する仕事を果たす乾。その結果、ここまで8ゴール7アシストと多くのゴールに絡んでいる。


もちろん、全ての攻撃が乾1人で完結できるわけではない。前節、累積警告で出場のなかったFWカルリーニョス・ジュニオや6月以降ゴールがないMF中山克広、昨年のJ1得点王であるFWチアゴ・サンタナら強力な攻撃陣が個々に役割を果たせるかが重要だ。彼らをより活かすためにも、やはり経験豊富な乾の存在は必要不可欠。最後まで「超攻撃的」を貫くため、乾が生み出すリズムの重要性は、残りの試合でさらに増していくことだろう。




東京ヴェルディ FW染野唯月 写真:Getty Images

東京ヴェルディ


キーマン:FW染野唯月


現在4位につける東京ヴェルディだが、1試合未消化の状態でトップを走る町田との勝ち点差は8。残りの試合数を考慮すると優勝を狙うには厳しい差をつけられていると言わざるを得ない。しかし、ここまで25失点はリーグ最少失点。その堅守で最後まで勝ち点を積み上げていければ、優勝の可能性がゼロと言うにはまだ早いことも事実。


だが、上位3クラブと比較して心許ないのが得点力だ。東京Vは今夏、セレッソ大阪よりMF中原輝を期限付きで獲得。MFバスケス・バイロンという主力が町田へ流出した穴埋めはできていると言っていい。しかし、それでもここまでの総得点46は上位3クラブと比較して10得点以上の開きがある。そんな攻撃陣でキーマンとなるのは、昨季に続いて期限付きで加入したFW染野唯月ではないだろうか。


現在チームのトップスコアラーは4ゴールをマークしているDF深澤大輝とMF齋藤功佑だが、染野は加入後10試合で3ゴールをマークしている。もちろん、多くの選手が複数得点できている状態は評価できるが、上位を見れば2桁あるいはそこに迫る稼ぎ頭がいることも事実。


残り8試合のうち、4つの対戦カードで今季得点を挙げられていない東京V。いずれもプレーオフ圏より上を狙うチームだが、ここで勝ちきれるかどうかが順位に与える影響は大きい。もちろん、勝利するには得点が不可欠。染野にはペースアップして得点を重ねてもらいたいものだ。

FOOTBALL TRIBE

「首位」をもっと詳しく

「首位」のニュース

「首位」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ