ウェストハム女子が熱い。FW植木理子参入で日本人最多WSLクラブに

2023年9月19日(火)12時0分 FOOTBALL TRIBE

林穂之香(左)植木理子(中)清水梨紗(右)写真:Getty Images

イングランド女子1部ウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)では、9月14日に今夏の移籍窓口が終了。期間中には2名の日本女子代表(なでしこジャパン)選手が初の海外移籍として同リーグ加入を決めた。


9月6日にMF宮澤ひなたがマイナビ仙台レディース(WEリーグ)からマンチェスター・ユナイテッド・ウィメンへと完全移籍。9月12日にはFW植木理子が日テレ・東京ヴェルディベレーザ(WEリーグ)からウェストハム・ユナイテッド・ウィメンへと完全移籍。WSLに年々増えていく日本人選手たちの姿は誇らしくもあり、女子サッカー繁栄の期待感を高めるものである。


ところで今夏、植木の加入によってWSLで最も多くの日本人選手が所属するクラブとなったのがウェストハムだ(9月18日時点、DF清水梨紗、MF林穂乃香、FW植木の3名が在籍)。ここでは、同クラブについて、また10月1日からスタートするWSL2023/24シーズンに向けての注目ポイントについて紹介したい。




ウェストハム・ユナイテッド 写真:Getty Images

東ロンドン生まれのクラブとシャボン玉の謎


プレミアリーグに所属する男子チーム、ウェストハム・ユナイテッドは、ロンドン東部をホームタウンとする1895年に創設されたクラブで、その歴史は長い。一方、他クラブ同様に女子チームは比較的新しく、ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン(以下ウェストハム女子)は、1991年に創設となった。


男女共に「ハマーズ」または「アイアンズ」の愛称で親しまれ、その由来となっているのがクラブエンブレムにも描かれているハンマーだ。ウェストハムは元々1890年代に東ロンドン地域の製鉄・造船会社のメンバーで結成されたサッカーチームだった。当時、製鉄業界で頻繁に使用されていたリベットハンマーが起源と言われている。


また、興味深いのがクラブアンセム(応援歌)の歴史だ。1919年頃にアメリカでヒットした『I’m Forever Blowing Bubbles(僕はいつでもシャボン玉を飛ばしているー”いつも空想にふけっている”の意)』が元となっており、この曲がなぜウェストハムの応援歌になったのかは謎に包まれている。


7月10日にクラブの公式YouTubeで公開された、2023/24シーズンクラブユニフォームのプロモーション映像や概要欄では、応援歌の起源について次のように説明されている。


「なぜ私たちがこの歌を歌うのか、真実は誰も知らない。アメリカのニューヨークから来たとか、ビリー・”バブルス”・マーレイ(1920年代のハマーズのプレーヤー)から始まったという説。ブーリン・グラウンド(※)で演奏したベクトン・ガス・ワークス・バンドが持ち込んだという説もある。戦時中の地下鉄駅で歌われ、ウォーカップで優勝した時にも聴こえていたとか」※ブーリン・グラウンドは1904年のオープンから2016年まで、ウェストハムのホームスタジアムだった施設。


「何が真実であろうと、これは私たちのクラブへの賛歌、歴史だ。東ロンドンで歌われ、世界中で認められている私たちの歌。希望と誇りをもって、私たちは永遠に歌い続ける」


どうやら応援歌の歴史を掘り下げるだけでもかなり長い物語がありそうだが、そんなハマーズとしてプレーする女子チームの近況と注目ポイントを見ていこう。


ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン リハンネ・スキナー監督 写真:Getty Images

WSL中間層脱出を目指すウェストハム女子


ウェストハムの女子チームは、ロンドンから在来線で約50分の町ダゲナムにあるチグウェル・コンストラクション・スタジアムをホームスタジアムとしている。2018/19シーズンに初めてWSLに昇格し、当時全12クラブの中で7位の成績を記録した。


その後の順位は、良くも悪くも横這いの状態だ。2019/20シーズン8位、2021/22シーズン6位、2022/23シーズンは8位。クラブとしては順位を落とすことなく、数年間キープしている中間順位から上位へと早く突破したいという想いが強くあることだろう。


今2023/24シーズン、その切り札のひとつと予想されるのがリハンネ・スキナー新監督だ。トッテナム・ホットスパー・ウィメン(2020-2023)を率いていた同監督だが、昨2022/23シーズンの9位という結果を受けて、3月に解任。この7月にウェストハムに就任したばかりである。


就任背景にはあまりポジティブなイメージを持つことはできないかもしれないが、トッテナムでの2021/22シーズンは結果を出しているスキナー監督。チーム史上初めてマンチェスター・シティに勝利し、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルからも史上初の勝ち点を得ると、リーグカップでは史上初のグループステージ突破を果たして準決勝進出。リーグでも史上最高の5位という結果で、WSLのシーズン最優秀監督にノミネートされた。


WSL史上初の女性監督としても有名なスキナー監督は、今後イングランドで女子サッカーの監督を目指す学生から、憧れの存在として注目される日が来ることもあるだろう。ウェストハムで敏腕を振るう可能性には期待がかかる。




ウェストハム・ユナイテッド・ウィメン FW植木理子 写真:Getty Images

FW植木理子加入で新デュオ誕生なるか


現在ウェストハム女子のキャプテンを務める、アイスランド代表MFダグニー・ブリニャルスドッティルは、2021/22シーズンから同クラブの得点王として活躍している選手だ。2006年のプロデビュー当時は、主に母国アイスランドを拠点にプレーしていたが、2015年からバイエルン・ミュンヘン(ドイツ1部)やポートランド・ソーンズ(アメリカ1部)などでキャリアを積んできた。


今シーズン最も楽しみなポイントは、そんな得点王のダグニーを含めたウェストハムのチームメンバーと新加入したFW植木理子が、一体どのような化学変化をもたらすのかという点だ。


既になでしこ仲間のDF清水梨紗やMF林穂之香は、植木の突き抜けるようなソロパフォーマンスの技術力やスピードを理解し、上手く合わせられている。更に新たな選手たちとの絡みにより、植木の良さをこれまで以上に引き出してくれる「最強デュオ」が誕生する可能性も極めて高い。


そんな期待もあり、2023/24シーズンのウェストハム女子にはより一層の熱い視線が集まりそうだ。同クラブのWSL初戦となるウェストハムVSマンチェスター・シティは、日本時間10月1日(日)23時にキックオフ。『The FA Player』から無料視聴が可能だ。

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