スパ4時間はセーフティカー5回・FCY3回の荒れ模様。アルガルベ・プロが2勝目飾る/ELMS第4戦

2023年9月25日(月)17時10分 AUTOSPORT web

 9月24日、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットでELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第4戦の4時間レースが行われた。5回のセーフティカーと3回のフルコースイエロー導入という荒れた展開となるなか、アルガルベ・プロ・レーシングの25号車オレカ07・ギブソン(カイフィン・シンプソン/ジェームス・アレン/アレックス・リン)が今季2勝目を飾り、選手権ポイントのリードを拡大している。


 レース残り10分、リンは最後のセーフティカーピリオドの際に4番手を走っていたが、前方を走る3台はすべて給油のためにピットインする必要があったため、この時点で実質トップに立っていた。リンはLMP3マシンのコースオフで導入された残り5分でのFCY後も後続との差をコントロール、総合2位/LMP2プロ・アマクラス優勝となったクール・レーシングの37号車(アレクサンドル・コイニー/ニコラ・ラピエール/マルテ・ヤコブセン)に1.8秒差をつけトップチェッカーを受けた。


 総合3位には、AFコルセ83号車のフランソワ・ペロード/マシュー・バキシビエール/アレッシオ・ロベラ組が入った。バキシビエールは最後のFCYが解除された直後にレーシングチーム・ターキー34号車をドライブするルイ・デレトラズをオーバーテイクし、総合表彰台を手中にした。


■スタートの混乱に佐藤万璃音の22号車も巻き込まれる


 レースはスタート直後の1コーナー、ラ・ソースから波乱の展開となった。パニス・レーシングのマニュエル・マルドナドのロックアップが引き金となり、デュケーヌ・チームとIDECスポール、さらには佐藤万璃音がドライブするユナイテッド・オートスポーツの22号車も巻き込まれ、LMP2総合勢の4台がここで大きく順位を下げてしまう。


 一方でリンのアタックによりポールポジションを獲得していたアルガルベ・プロはシンプソンがこの混乱に影響されることなく1コーナーを通過し、レースの最初の1時間半をコントロールすることとなった。

スタート直後の混乱によりコースアウトするデュケーヌ・チーム30号車ら


 シンプソンはアレンへと交代した時点で、2番手のインターユーロポル・コンペティションの43号車に30秒ほどのリードを築いていたが、2回目のセーフティカーランによりそのギャップは霧散してしまう。


 アレンは残り1時間半の時点で導入された次のセーフティカーピリオドまで首位をキープ。このセーフティカーはLMP3クラスの表彰台争いをしていたユーロインターナショナル10号車が高速でガードレールにクラッシュしたため導入されたもので、バリアの修復を行ったため、レース再開には30分ほどを要した。


 この長時間のセーフティカーによりLMP2クラスは相次いでピット作業を行ったが、ピットクローズド直前に飛び込んでいたクール・レーシングの37号車が恩恵を受けた1台となった。


 これにより、残り55分のリスタートではヤコブセンがトップに立ち、リンが2番手、ニールセン・レーシング24号車のベン・ハンリーが3番手につけていた。


 ハンリーは背後のバキシビエール、デレトラズとバトルを演じたが、ポール・フレールコーナーで単独コースアウトしてタイヤバリアに激しくヒット、レースを終えることとなった。


 ほとんどのLMP2勢にとって、このタイミングで導入されたセーフティカーは最終の給油スプラッシュのための絶好の機会となった。ここで、ピットタイミングがクール・レーシングよりも遅いシーケンスとなっていたアルガルベ・プロは、ここで6秒のギャップを作り出すことに成功、リンがヤコブセンの前に出た。


 このセーフティカーからの再開後も、ハンリーのアクシデントと同じ場所で、ジョナサン・アバーデインがインターユーロポール43号車をクラッシュさせたため、最後のセーフティカーが導入された。


 グリーンフラッグ後、前述のとおりリンはヤコブセンを抑えて優勝。第2戦ル・カステレ4時間レースに次ぐ今季2勝目となり、25号車の3人はLMP2のドライバーランキングでのリードを17へと伸ばして、スパを後にした。


 スタート直後の混乱に巻き込まれた佐藤のユナイテッド22号車は、総合13位でフィニッシュしている。

予選でポールポジションを獲得したアルガルベ・プロ・レーシングのアレックス・リン

総合2位、LMP2プロ・アマカテゴリーでは優勝を飾ったクール・レーシングの37号車

終盤の逆転で総合3位表彰台を手にしたAFコルセの83号車


■LMGTEトップチェッカー車両にレース後ペナルティ


 LMP3クラスでは、クール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン(マルコス・シーベルト/アレハンドロ・ガルシア/エイドリアン・チラ)がクラス優勝を飾った。クール・レーシングは、これで今季4戦3勝となった。


 LMGTEクラスでは、トップフィニッシュしたプロトン・コンペティションの16号車ポルシェ911 RSR-19に対してレース後に10秒加算のペナルティが科せられた結果、アイアン・リンクスの60号車ポルシェ(クラウディオ・スキアボーニ/マッテオ・クレッソーニ/マッテオ・カイローリ)が繰り上がりで勝利を手にしている。


 16号車をドライブするアレッシオ・ピカリエッロは、FCYの手順違反があったと判定され、ペナルティを受けた。彼らはクラス3番手へと後退している。クラス2位には、フォーミュラ・レーシングの50号車フェラーリ488 GTE Evoが入った。


 木村武史がドライブするケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoは、クラス5位でチェッカーを受けている。


 ELMSの次戦第5戦は10月20日に行われるアルガルベ4時間レースとなる。イモラサーキットの工事遅れによるスケジュール変更のため、第6戦も引き続き10月22日にポルトガル・ポルティマオ郊外のアルガルベ国際サーキットで行われる、“Wヘッダー”イベントとなる。

LMP3クラスを制したクール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン

LMGTEクラスで当初トップチェッカーを受けていたプロトン・コンペティションの16号車ポルシェ。ペナルティによるタイム加算で、勝利は幻に

繰り上がりでクラス優勝を手にしたアイアン・リンクスの60号車ポルシェ911 RSR-19

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