【松田宣浩インタビュー】ジャイアンツ版「熱男の流儀」 優勝のためには「1球に対する価値感を上げなければいけない」

2022年11月16日(水)16時45分 ココカラネクスト

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 ソフトバンクを退団し、新たに巨人に活躍の場を移す松田宣浩。リーグ優勝6回、日本一7回という球界屈指の実績を誇る名手は、今何を思うのか。勝負強い打撃とゴールデングラブ賞8回の守備のみならず、トレードマークでもある「声」でチームを活性化してきた稀代の三塁手を直撃した。

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ーー巨人への加入が決まりました。改めて、新天地ではどんな働きをしたいと考えていますか?

 いろんな人が「松田宣浩=ムードメーカー的存在でジャイアンツに入った」と考えているかもしれません。ただ、ジャイアンツからお話しをいただいた時に「単にムードメーカーではなく、戦力として必要だ」と言っていただきましたし、自分でも「そこが大事だな」と思っています。プロ野球の世界は、打って、守って、走って、数字を残してお金を稼ぐもの。加えて、リーグ優勝や日本一になるためにはプラスアルファが必要だなと考えて、声を出したり雰囲気作りをしてきました。そういうことを、ジャイアンツでもやっていきたいと考えています。

ーー「熱男」が代名詞となっている松田選手ですが、「声」が持つ役割をどのように考えていますか?

 一人一人の動きを変えてくれるもの、かなと。その場の雰囲気を変えてくれるので、大事だと思っています。

ーー「声」が注目されるようになったきっかけを振り返って頂けますか。

 2001年に川﨑(宗則)さんがメジャーに行く時ですね。それまで、あの人が一人で声を出してチームを引っ張っていました。僕らは若かったので、「一生懸命野球だけ頑張っとけばいい」と言われてたんです。でも、川﨑さんがメジャーに移籍する時に「こういう役割もやってくれ」と本人に言われました。それで2012年ぐらいから意識的にやるようになりましたから、もう10年くらいになりますね。

ーームードメーカーとしての役割が、自分の中でしっくりきたタイミングはいつでしたか?

 試合に出続けて、チームの結果も出始めた頃からです。リーグ優勝した2014年くらいですね。12、13年は、自分では元気を出しているつもりだったけど、結局優勝はできていなかった。14、15年に優勝してから、「声も出してきて良かったな」という想いが出てきました。

 やっぱり、声を出すのは結構エネルギーがいるし、疲れるんですよ。でも、大事なものが、その先にはある。静かな選手、どこにいるか分からない選手よりも、常にどこかにいる存在でありたいなという思いもあったので、こういう感じでやってます。

ーーこれからチームメイトになる巨人の選手の中で、特に「熱くしたい」という選手はいますか?

 みんな、ですよね。みんなと熱く野球がしたい。新しく入るチームなので、そのチームのスタイルであったりルールがあると思う。最初から全部自分の考えでやるのではなくて、チームのやり方を聞きながら、自分がやってきたことを出していければいいかなと思っています。

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ーー巨人のメンバーで親交がある選手は?

 代表やオールスターなどでたくさんのメンバーとプレーしています。有名な選手、監督コーチの方もそうですし、誰もが知っている名前の方ばかり。同年代も多いので、やりがいがあります。やっぱり何と言ってもジャイアンツは名門。そういうチームに選んでいただいたのは嬉しく思います。注目されるのは僕も好きですし、よりモチベーションを高く持てますよね。今年はホークスで悔しいシーズンを過ごしてチームを去ることになったので、なおさらモチベーションは高いです。

ーー松田選手はここまで1831安打、301本塁打の記録を積み上げています。来季に向けて、数字の目標があれば教えてください。

 数字の目標はありません。来年は「まだまだやれる」ところを見せたいというのが、今の気持ちです。2000本安打に近いところまで来ているなとは感じていますが、それを目指して現役を続行したわけではなく、まだまだ元気だし、野球がしたいと思うから現役にこだわって、チャンスをいただいた球団に飛び込もうと思っていました。だから、まずはジャイアンツで試合に出て1本ヒットを打ち、今年打てなかったホームランを打つ。本拠地の東京ドームでホームランを打ちたいなと、そう思っています。

ーーソフトバンクで7度の日本一を経験しています。常勝軍団の中で自身が心がけていたこと、優勝するための必要な意識とは、どのようなものだと考えていますか。

 まずは試合に出続けるのが大事。でも、ベンチに回るようになってからは、交代で出場する選手の大切さも分かりました。誰もがスタメンで出たいなと思うのは当然ですが、やっぱり役割があるので、そういう役割をしっかりこなす。あとはスタメンにせよ、交代出場にせよ、しっかり準備をすること。いつ自分の出番が来てもいいように、常に準備しておくことが大事です。

ーーベンチ生活を経験した今年1年で心構えが変わった部分も?

 いろんな発見はありましたが、それに慣れるのは良くないなとも思いました。実際に「チャンスが来た時に1発で立ち位置を変えたろう」という思いを持っていました。そういう気持ちが大事だし、それがきついと思ったら辞めていると思います。

ーー松田選手は日本シリーズで巨人と戦っています。当時、巨人のコーチ陣からは「松田選手の声に負けた」という声も出ていました。その当時の巨人の印象や「足りないピース」など感じた点があれば、教えてください。

 結果的には4勝0敗でしたけど、当時もジャイアンツは十分な戦力があったと思います。日本シリーズまで勝ち上がるチームの力は、あまり変わらないと思うんです。あとはいかにみんなが勝利のためにプレーできるか。ヒット1本でも、それがホームラン打ったかのように盛り上げるとか、点が入ったら勝ったかのように盛り上げるとか、そういうムード作りは意識してやってましたね。日本シリーズという舞台は、一つのヒット、一つのプレーでも価値が違う。普段のシーズンだったら一つのアウトを取ったら普通にナイスプレーで終わるんですけど、シリーズでは常にファインプレーしたかのように、27のアウトを取るんです。そういう積み重ねで何回も日本一になれた。だから、クライマックスファイナルステージ、日本シリーズとステージが上がるにつれて、1球に対する価値感を上げないといけないと思っています。

ーー当時のチームメイトにも、そういったことを伝えましたか?

 そうですね。言っていました。1試合の重みが全く変わってくるので、もっとバカになって野球やってみようと。そのバカになってやろうというのが、大袈裟にジェスチャーするとか、そういうことだったかなと思います。

ーー巨人でも目標は優勝ですね。

 今年はリーグ優勝できなかったので、誰かがやらないといけない。みんながそう思って束になってやっていきたい。僕自身はリーグ優勝6度、日本一7度という経験を生かしていけたらいいと思います。優勝できずに現役を終える選手もたくさんいるなかで、本当に恵まれてこんなに数多く優勝させてもらっている。この経験は消えないので、表現したい。

 僕もいつまでプレーできるかわかりませんが、チャンスをくれたジャイアンツのために個人成績でも頑張るし、リーグ戦で1試合1試合に負けないようにやっていけたらいいかなと思います。サードとファーストがメインでしたけど、過去には外野も守った経験もあるので、挑戦という意味ではどこでも守りたいなという気持ちでいます。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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