映画史上初の“人食い”人形映画『The Doll’s Revenge(1907年)』がヤバすぎる

2025年1月31日(金)22時0分 tocana


 映画がまだ発展途上であり、短編や実験的な作品が多かった1907年、イギリスの映画監督セシル・M・ヘップワースは、まったく異なる作品を世に送り出した。それは、「人食い人形がヴィクトリア朝の子どもを襲う」という前代未聞のホラー映画だった。


 さっそくご覧いただこう。



「人形の復讐」——史上初のカニバリズム・ドール映画

 この短編映画『The Doll’s Revenge(人形の復讐)』は、穏やかな家庭の一場面から始まる。父親が娘にダンスをする人形をプレゼントし、彼女は大喜びする。しかし、嫉妬した兄が人形を解体しようとするところから物語は急転する。


 この兄は、ヴィクトリア朝時代の病的な性格を持つ問題児として描かれている。しかし、彼の解剖ごっこは大きな間違いだった。この人形はただの玩具ではなく、異常な復讐心と人食いの衝動を秘めていたのだ。


驚異的な映像技術で描かれた恐怖の復讐劇

 ヘップワース監督は、当時としては画期的な特殊効果を駆使し、この「復讐する人形」を描き出した。


 解体された人形は、まるで『ターミネーター2』のT-1000のように、バラバラのパーツをつなぎ合わせて自己修復し、突如として人間サイズに成長する。そして、双子のように分裂し、兄を捕まえて「食事」にしてしまうのだ。


 わずか3分ほどの映像の中で、ストップモーションや遠近法のトリックが駆使され、110年以上前の映画とは思えないほどの斬新な演出が展開される。


今なお語り継がれる異色の作品

 映画ファンのレビューサイトでは、本作に対する評価が今なお寄せられている。あるレビュアーは「この映画の特殊効果とカメラ技術は、現代の作品をも凌駕している」と絶賛しており、さらに別のレビュアーは「1907年の時点で、すでに人食いホラー映画が存在していたとは驚きだ」とコメントしている。


 殺人鬼人形映画といえば、『チャイルド・プレイ』のチャッキーや『アナベル』が有名だが、そのルーツが100年以上前の『The Doll’s Revenge』にあるとすれば、ホラー映画史の中でも特筆すべき作品と言えるだろう。


 当時の観客にとって、この作品はまさに衝撃的だったに違いない。まだ映画自体が新しく、ホラーという概念すら確立されていなかった時代に、人食い人形が襲いかかる映像は、観る者の常識を覆したことだろう。今ではカルト的な魅力を持つこの短編映画も、当時の人々にとってはまさに悪夢そのものだったかもしれない。


参考:Boing Boing、ほか

tocana

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