今日は節分。今年の恵方は東北東! 鬼も逃げ出す「ヒイラギ」は最強の魔除け!名前の由来が「疼ぐ(ひいらぐ)」
2024年2月3日(土)12時30分 婦人公論.jp
イラスト:角愼作
2月3日は節分。鬼を退治してくれるという植物の記事を再配信します。
************
京都大学農学部を卒業、スミソニアン研究所を経て農学博士として研究を重ね、『植物はすごい』などの著書を上梓している田中修先生に、植物の不思議や進化、知られざる特徴を教えてもらった。今回は、ライオンも殺すことがあるという「トゲトゲ植物」の仲間から、名前も特徴的な2つをご紹介します
* * * * * * *
ヒイラギは鬼も悪魔も逃げていく世界最強の魔除け
トゲの角度がいかにも痛そうな、ヒイラギの葉。名前の由来は「疼ぐ」で、ヒリヒリ痛む、ずきずき痛む、うずくという意味があります。
このヒイラギ、日本では昔から鬼を退治してくれる植物として知られ、節分にはヒイラギの枝に鬼が嫌がる臭いを出すといわれるイワシの頭を刺して戸口に置き、魔除けにする風習があります。
また、姿が似ている植物に、クリスマスリースでおなじみのセイヨウヒイラギがありますが、これもキリスト教では神聖な植物で、悪魔除けとして使われています。
なぜ、どちらも魔除けとして使われるのか。その理由にはトゲの形もありますが、もうひとつが常緑樹であること。万物が枯れる冬の寒さの中でもツヤツヤと緑に輝く姿はとても不思議な存在で、昔の人にとっては永遠の命の象徴でした。人力が及ばない大きな力を感じていたのでしょう。
*ヒイラギはモクセイ科、クリスマスホーリーとも呼ばれるセイヨウヒイラギはモチノキ科。違う種類の植物なのです。
ヒイラギ
【学名】Osmanthus heterophyllus
【原産地】日本、台湾
【特徴】名前の由来は「疼(ひいら)ぐ」で、魔除けとして使つかわれてきた。冬も緑の葉を保つ常緑樹。
イラスト:角愼作
イラクサはトゲと毒で動物をイライラさせる
イラクサの葉や茎には無数の小さなトゲがあります。このトゲがすごいのは、刺されると痛いだけでなく、かゆくなること。蕁麻疹の原因になるアセチルコリンやヒスタミンという物質が含まれているからです。
イラクサの名の由来は、刺されるとイライラするからといわれ、英語名「ネトル」にも同様の意味があります。きっと昔から世界中の人をイライラさせることで、身を守ってきたのですね。
ところで、イラクサにはトゲの多いものや少ないものがあります。シカで有名な奈良公園に、トゲが多いものと少ないものを混ぜて植えてみるという実験が行われたことがありました。イラクサはシカの大好物。結果はどうなったでしょう?
数年後にはトゲの少ないものは食べ尽くされ、トゲの多いものだけが繁殖していたのです。これにより、トゲは身を守るためであることが証明されました。
*トゲは、昔、「刺」と呼ばれていました。「イラ」は「イラだつ」「イラつく」など多くの言葉に派生しています。
イラクサ
【学名】Urtica thunbergiana
【原産地】本州、四国、九州
【特徴】痛いだけでなく、かゆみも発症させる小さなトゲがある。人や動物をイライラさせる。
※本稿は、『すごい植物最強図鑑』(田中修監修ほか)の一部を再編集したものです。