節分で食べる豆の数は? なぜ豆をまくの? 節分の謎

2024年2月3日(土)5時10分 ウェザーニュース

2024/02/03 05:00 ウェザーニュース

2024年の「節分」は今日2月3日(土)です。「鬼は外、福は内」の掛け声に合わせて豆をまき、食べる風習は多くの家庭で行われています。
あたりまえのようになされている豆まきですが、なぜ節分に豆をまくのか、そもそも節分とはどんな日なのかなどについては「よくわからない」という方も少なくないのではないでしょうか。
そんな節分の“秘密”について、歳時記×食文化研究所代表の北野智子さんに、詳しく教えて頂きました。

節分には大みそかとも共通する特別な意味が?

まず、節分とはどんな意味をもった日なのでしょうか。
「節分とは立春の前日のことで、冬から春への『節目(ふしめ)』にあたります。節は季節の変わり目を意味し、節目にあたる日を『節日(せちにち)』と呼んで祝祭を行う日とされてきました。
また、昔から季節の節目・季節の隙間は邪気や悪霊が忍び込みやすく災いが生じやすい時とされ、心身を清める『物忌み/ものいみ』をして過ごす日でもありました。そのため『ヤイカガシ』という、柊(ヒイラギ)の枝に焼いたイワシの頭を刺したものを、門口や軒下に立てて魔除けのまじないとしてきました。
豆まきも、邪気や悪霊、厄災を豆で打ち払う魔除けの呪法です。そのため、豆まきは『豆打ち』とも呼ばれています」(北野さん)
季節の変わり目は春夏秋冬すべてにあるはずですが、なぜ現在では立春の前日のみを節分と呼ぶようになったのでしょうか。
「その理由は、立春が春の始まりであることと、かつては立春を正月としていたためとされています。
旧暦で冬と春との節分は新年を迎える前日にあたり、元日の前日となる大みそかとも共通する特別な意味をもつ日でした。そのため、立春の前日だけを節分とするようになって、今日に至っているのです。
節分の日は太陽の運行を基準としていますので、年ごとに変わります。おおむね2月3日頃で、2024年も2月3日になります」(北野さん)
節分の豆まきの行事は、いつごろ始まったのでしょうか。
「古代中国で邪気や疫病を祓(はら)うために、鬼の面をかぶった人を桃の木で作った弓矢で追い払う追儺(ついな)や鬼やらいと呼ばれる儀式が起源で、『鬼は外、福は内』の鬼は冬、福は春の象徴ともされています」(北野さん)

節分に込められた意味

なぜ節分に豆をまくのでしょうか。
「古来豆は、日本人にとって最も重要な主食の原料である『五穀(稲・麦・粟〈アワ〉・稗〈ヒエ〉・豆)』の一つに数えられています。そのため神社の祭礼では神に五穀を供え、豊穣を祈願します。
また、穀物は霊力をもつと考える『穀霊信仰』があり、その霊力で鬼を追い払おうとしたといわれています。昔は節分に五穀すべてをまいていたともいわれています。
特に豆は『魔(ま)を滅(め)っする』に音が通じるため、音魂(おとだま)としての力を用いて、『鬼は外』『福は内』と唱和することで魔を滅するとされています。また、豆で鬼の目を打って退治することから、『魔目』と呼ばれるという説もあります」(北野さん)
豆まきには生ではなく炒った大豆を使うことが多いようですが、なぜなのでしょうか。
「生の豆を外へまくと、そこから芽を出すことがあって縁起が悪いからとか、まいた豆を拾って食べるからともいわれています。かつての人々はコメ一粒、豆一粒も無駄にしませんでしたし、『穀粒(つぶ)は神の目』という思想がいきわたっていました。
豆をまいた後で拾い、『おかげ(神の恩恵)』があるとして食するのは、その思想に基づいたものとされています。この場合、豆は主に座敷や居間にまき、玄関から外には最後にごく少量まくだけです」(北野さん)

雪の多い地域では大豆ではなく落花生が主流

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ウェザーニュースで全国の皆さんに「節分に何をまく?」と伺った結果、北海道・東北・信越・鹿児島・宮崎は圧倒的に落花生派で、その他のエリアは大豆派と、真っ二つの分布となりました。
全国落花生協会によると、「雪の多い地域で使う割合が高いのは、雪の中にまいた豆を拾うには落花生の方が楽ですし、後で食べることを考えると殻に入った豆の方が汚れず衛生的であるなどの合理的な理由が伴っているからと考えられます」とのことでした。
鹿児島・宮崎は千葉に次いで落花生の生産量が多い県です。ダントツの生産量を誇る千葉で大豆をまくのが主流である理由は、よくわかっていません。

食べる豆の数、豆まきをする時間帯に決まりはある?

豆まきの豆を食べることにはどのような理由があるのでしょうか。
「昔は立春から一つ年を重ねるとされていたことから『年取り豆』といって、自分の年齢より一つ多い数の豆を食べる習わしがあります。一年の無病息災を祈りながら食べるものです。
お年寄りなど豆の数が多くて食べるのが大変な場合は、年の数の豆に熱いお茶を注いで『福茶』にして飲むと、年の数だけ食べるのと同じ御利益があるといわれています。元日と同じように、お茶に梅干しと豆を入れて食べる『福茶』もあったようです」(北野さん)
豆まきをする時間帯に決まりはあるのでしょうか。
「立春を翌日に控えた節目である夜に訪れる鬼(邪気や厄災)を追い払うため、豆まきは夜に行うものとされています。
節分の前日に大豆を一升枡か三方に入れ、『福豆』として神棚に供えておきます。節分当日は日暮れまでに豆を炒り、夜になったら家中の戸を開け放って豆まきを始めます。
一般的には、豆をまくのは一家の主(あるじ)が、年男あるいは年女となって、家から鬼を追い出すように『鬼は外、福は内』と大声で唱えながら家の内外にパラパラッと威勢よく豆をまき、福が出て行かないようにピシャッと強く戸を閉めていきます。
大きな声や音には、魔除けの効果があるとされているからです」(北野さん)
節分の豆まきにはさまざまな由来や目的があるのですね。「鬼は外、福は内」の掛け声に無病息災の思いを込めて、福豆を味わってみましょう。
参考資料
『「まつり」の食文化』(神崎宣武/角川学芸出版)、『暮らしのならわし十二か月』(白井明大/飛鳥新社)、『和のしきたり』(新谷尚紀監修/日本文芸社)、『ユネスコ無形文化遺産に登録された和食〜年中行事としきたり』(和食文化国民会議監修・和食文化ブックレット2/中村羊一郎/思文閣出版)、ウェザーニュース「節分といえば大豆? 実は北日本は落花生なんです」(https://weathernews.jp/s/topics/202302/010075/)

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